情シスのあるべき姿とは?従来の役割と今後求められる役割について解説

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情報システム部こと情シスは、企業において「ITのなんでも屋さん」としての役割を担い、貢献している部署です。しかし近年、情シスの役割に変化が起きているといわれています。一体情シスに何が起きているのでしょうか?

今回の記事では、従来の情シスの役割と今後求められる役割を説明し、これからの情シスのあるべき姿を解説します。情シスの業務効率化を実現し、今後の情シスの活躍をサポートするツールも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

情シスの仕事に変化が起きている

従来企業ではシステムやソフトウェアを導入するときには、自社主導でシステムを企画・開発し、社内に設置したサーバーにシステム構築する「オンプレミス型」を採用するのが主流でした。

しかし近年ITテクノロジーが急速に発展したことにより、あらゆるサービスのクラウド化が進んでいます。さらにソフトウェアに関しても、SaaSやPaaSといった、クラウド上で提供されるサービスを利用するのが主流です。

そうなると、社内に物理サーバーを設置して自社で保守・管理・運用する必要がありません。設備投資はもちろん、自社で社内SEを抱える必要がなくなってきているのです。すべてのITリソースの社内保守が不要になる日が、いずれやってくるでしょう。

また、近年では多くの企業において、DX(デジタルトランスフォーメーション)を最優先課題と捉え、推進する動きが加速しています。

DXを単なるデジタル化やIT化と考える人は少なくありませんが、実はそうではありません。DXとは、デジタルやテクノロジーを活用してビジネスモデルや業務・組織体系を改革し、市場競争に生き残る力をつけることを意味します。

経済産業省では、2018年(平成30年)に発表した「DXガイドライン」において、DXを以下のように定義しました。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

参考:デジタルトランスフォーメーションを推進するための ガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0|経済産業省

今やDXは、企業が市場での生き残りをかけて取り組む命題となりました。企業がDXを実現するには情シスの存在が欠かせないため、情シスの仕事も変化を迎えているのです。

情シスの従来の役割とは?

情シスの変化を理解するために、まずは一般的に情シスがどのような役割を担っているのかを整理しておきましょう。従来より情シスは、主に以下のような業務をおこなっていました。

  • IT戦略・システムの企画立案
  • システムの構築や運用・保守
  • 社内インフラの構築や運用・保守
  • 社内ユーザーの問い合わせ対応

IT戦略・システムの企画立案

従来より情シスには、自社の経営戦略や事業戦略に基づき、IT技術の観点から必要なシステムを策定する重要な役割があります。

システムを企画するためには、各部門の業務内容を理解する必要があるため、実際にその部門で働く従業員にヒアリングを実施して業務の問題点を洗い出さなければなりません。そこから要件定義し、複数の社外ベンダーから見積りを取り比較したうえで選定します。

そのあとプロジェクトマネジメントを遂行し、最終的に構築されたシステムを、ユーザー部門に提供するまでを、情シスがおこないます。

基幹システムの構築や運用・保守

基幹システムは業務に直接かかわる重要なシステムであるため、安定性や使いやすさが求められます。そのため基幹システムにトラブルが発生しないよう、運用・保守するのも情シスの重要な役割です。

さらに使いやすさを向上させるために、システムを使用する従業員の意見や要望を聞き出し、改善するためにカスタマイズを実施します。業務プロセスが変更されたときには、対応できるように要件を再定義することも必要です。

社内インフラの構築や運用・保守

情シスは、インターネットを快適に利用するためにサーバーやネットワークを正常に稼働させるための、インフラ構築や運用・保守も仕事です。現在の企業活動においてインターネットは欠かせないため、異常がないか監視・運用し、トラブルが発生したときには迅速に対応しなければなりません。

ハッキングなどによる情報漏えいを防ぐためのセキュリティ対策や、データ保全体制の強化なども情シスの役目です。また新技術や製品を評価して導入を検討し、常に社内のインフラ環境が最善の状態に保てるように努めます。

社内ユーザーの問い合わせ対応

社内ユーザーからの問い合わせに対応するのも情シスの仕事です。社内に点在する各種IT機器や、導入しているソフトウェアなどの使い方やトラブル対応をおこないます。

社内ユーザーのITリテラシーレベルはさまざまなので、PCやブラウザ、オフィス系アプリの使い方まで対応することも珍しくありません。

さらに直接対応するだけでなく、マニュアルやよくある問い合わせをまとめたFAQを作成することもあります。

IT資産管理

社内で利用するIT資産を管理するのも情シスの仕事です。

自社が所有しているハードウェアやインストールされているソフトウェアについて、稼働状況を台帳などで管理し、不足や余剰がないかをチェックして効率的に運用します。ソフトウェアのライセンスを管理し、ライセンス切れやライセンス違反を防止することも必要です。

廃棄するハードウェアのデータを適切に処分し、情報漏えいを防ぐのもIT資産管理業務に含まれます。

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情シスの今後求められる役割

従来の情シスの役割を理解したところで、今後はどのような役割が求められるのかを見ていきましょう。これからの情シスは、主に以下のような役割を担うと考えられています。

  • ITツール活用に向けたマインドチェンジを図る
  • 業務プロセスの見直しをする

順番に解説します。

ITツール活用に向けたマインドチェンジを図る

企業がDXを推進していくためには、デジタル化とIT化が必須であり、それを推進するのが情シスの役目となります。しかし実際にDXを進めようと思っても、なかなかうまくいかないことが少なくありません。

それは、DXに対する従業員の理解が追いついておらず、新しいシステムやIT機器の導入を受け入れる準備ができていないことがもっとも大きな要因です。

システムやツールを導入しても、使い方がわからず現場が混乱したり、パフォーマンスが落ちることもあります。従来のやり方のほうが慣れているといった理由で受け入れてもらえず、DXが頓挫することも珍しいことではありません。

このような事態に陥らないためには、従業員一人ひとりのマインドチェンジが必要です。今なぜDXが必要なのかを理解してもらい、新しいワークスタイル実現に向けて一丸となり、全社的にDXを推進していかなければなりません。

これからの情シスは、DXを推進していく立場として、従業員の意識を改革して企業全体を変革するという重要な役割があるのです。

業務プロセスの見直しをする

DXは常に業務プロセスの見直しとセットで進める必要があり、それも今後情シスが担う重要な役割です。

DXが単なるデジタル化やIT化ではないとされているのは、従来の業務のあり方を抜本的に見直し、ビジネスモデルを変容させることが最終目標とされているためです。そのため、例えば基幹システムを刷新するときには、まずは各部門の業務フローの洗い出しから始める必要があります。

業務フローを細かに書き出し、どの部分にどのような課題を抱えているのかを精査します。さらにそもそもその業務が必要なのかを検討することが重要です。

もし転記作業でミスが発生するのが課題であるなら、ミスを減らす仕組みを考える前に、本当に転記作業が必要なのかを考えます。本当に必要な業務だけを残し、それをどうテクノロジーで解決するかを考えていくのです。

市場競争が激しい領域で生き残るには、洗練された無駄のないオペレーションで、効率的に業務を遂行しなければなりません。そのための業務プロセスの見直しと再構築は、今後の情シスに求められる重要な役割です。

情シスのあるべき姿とは?

経済産業省が「DXガイドライン」内で指摘した「2025年の崖」は多くの企業に衝撃を与えました。これは2025年までにDXを推進しなければ、2025年には最大年間12兆円もの経済損失が発生する恐れがあると指摘した問題です。DXを実現しない企業は急速に増加するデジタルデータを活用できず、世界において主戦場となったクラウドベースの市場での競争力を失い、淘汰されていく可能性すらあるでしょう。

そのため情シスは、従来のブラックボックス化したレガシーシステムの保守・運用という「守りの情シス」から脱却する必要があります。クラウドベースでデジタルデータを活用し、新たな価値を創出して市場競争に勝ち抜く力をつける「攻めの情シス」が、今後のあるべき姿なのです。

デジタル化やIT化を進めるためには、新製品やサービスを導入しなければなりません。さらに既存のレガシーシステムをクラウド型に刷新するためには、莫大な予算を投じる必要があるでしょう。

投資した額に見合う成果が上がらず、行き詰まることもあります。できるだけリスクを回避するためには、最初から大きな変革を目指すのは賢明とは言えません。

長期的な最終目標を設定したうえで、小さなデジタル化・IT化から着実に実現して成功体験を積み上げていくことが、これからの情シスには求められます。

情シスの業務効率化におすすめのツール3選

情シスがDXを推進していくうえでは、自身の業務効率化が欠かせません。まずは情シス自らがデジタル化・IT化を進めましょう。ここでは情シスの業務効率化におすすめの、3つのツールを紹介します。

チャットボット

チャットボットは、入力された質問に対してチャット形式で回答する自動応答システムを指します。

情シスは社内問い合わせに対応するヘルプデスクの役割も担いますが、問い合わせ数が多すぎて業務が圧迫されることに課題を抱える情シスは少なくありません。しかし寄せられる問い合わせは、必ずしも情シス担当者自らが対応しなくてよいものも多いのではないでしょうか。たとえばツールの使い方などは、マニュアルを見れば解決できることが多いはずです。

このように「誰が答えても同じ」「何度も繰り返し寄せられる」ような質問への回答は、チャットボットが得意とする領域です。問い合わせの一次対応をチャットボットにまかせれば、情シスは直接対応が必要な問い合わせにだけ応じればよくなるので業務効率が向上します。

チャットボットはすぐに導入することができ、問い合わせ対応の効率化による業務負荷軽減の効果を実感しやすいことから、DXの第一歩としてスモールスタートで成功を収めていくのに最適なツールです。

メール配信システム

上述したチャットボットはあくまで問い合わせに対して自動で対応するというものです。情シスのように重要事項などを周知する場合は社内に対して能動的に発信する必要があります。

そんなときに活用できるのが「メール配信」システムです。

もちろんBCCを使った配信なども可能ですが、BCCの一斉配信には「誤送信」や「スパムメールと間違われてメールが届かない」などのリスクが存在します。

また、メール配信システムには様々種類がありますが、この場合は一斉メール配信に特化した「ブラストメール」のような安価なメール配信システムが良いでしょう。社内へ一斉配信するのに最適です。

その他、メール配信システムは以下の記事でも詳しく紹介していますので参考にしてください。

関連記事:メール配信システムおすすめ19選!タイプ別に紹介

IT資産管理ツール

IT資産管理も情シスの重要な仕事ですが、エクセルなどで管理している場合が多いようです。しかし企業規模が小さければ問題なくても、従業員を数百人も抱える大企業となると、エクセルでの管理は著しく効率が下がります。それだけの数の従業員が使用するPCなどの状況をすべて把握し、手入力で管理するのは手間と時間がいくらあっても足りません。

そのようなケースでは、IT資産を管理する専用ツールを導入するのがおすすめです。IT資産管理ツールを活用すると、IT資産に関する情報を自動で収集・確認できるようになります。ライセンスが切れる前にはアラートを出してくれるうえ、ソフトウェアのアップデートなどを遠隔でおこなえるものもあるので検討するとよいでしょう。

RPA

RPAは「Robotic Process Automation」を略した言葉で、主にPC上で繰り返しおこなっている定型業務を自動化するツールです。たとえば毎月必ずおこなう集計や分析業務を決まった時期に自動で実行させれば、瞬時に業務を終えられるようになります。

システムにより機械処理されるため、人が手作業でおこなうような転記ミスなどが発生しないのもメリットです。RPAツールは目的に応じて多くの製品が販売されているため、自動処理したい業務の内容に応じて選びましょう。

まとめ

これからの情シスは「攻めの情シス」として企業のDXを推進していくのがあるべき姿です。DXに失敗すると、企業は市場で競争力を失い淘汰されていく可能性があるため、とても重要な役割だといえます。

とはいえDXは、一気に進めると現場が混乱し、現場から拒絶反応を示される恐れがあるため注意しましょう。DXはスモールスタートし、小さな成功を積み重ねていくのが基本です。まずは情シス自ら小さなデジタル化、IT化を進めてみてはいかがでしょうか。

なかでもチャットボットは、手軽に導入して情シスの業務効率が向上するだけでなく、従業員の利便性も高まるので社内にポジティブな効果を波及させやすいのでおすすめです。

また、チャットボットのような受け身で使うツールだけでなく、メール配信システムのような攻めの情報発信ができるツールも併せて利用することでより大きな効果が出せるでしょう。

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この記事を書いた人

Email Rising編集部です。Email Risingではメール配信システムやメールマーケティングについてのお役立ち情報を発信しています

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