カスタマーサポート部門や社内ヘルプデスク部門を設けている企業では、「対応が追いつかない」「人によって対応が全く違う」「いつ誰が対応したのか分からなくなる」といった課題を抱えるケースも多いのではないでしょうか。
最近では、そうした課題を解決するために、FAQシステムやチャットボットを導入する企業が増えています。特にチャットボットの進化は著しく、人工知能技術とチャットボットを組み合わせた「AIチャットボット」も浸透しています。AIチャットボットでは、業務のさらなる効率化と顧客満足度の向上が可能です。
そこでこの記事では、AIチャットボットの仕組みや導入メリットを解説します。さらに、おすすめAIチャットボットをタイプ別に11個ご紹介するため、導入を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
AIチャットボットの仕組みとは?
AIチャットボットとは、顧客との会話をAIロボットが代行してくれるツールです。
会話データをあらかじめAIチャットボットに学習させることで、顧客とのスムーズな対話が実現します。AIチャットボットの仕組みは、まずAIチャットボットのプログラムが文章を単語レベルで解析し、最適な回答を自動的に構成します。
そして、プログラムが構築した返答内容により会話らしい表現に修正が加えられ、顧客との円滑なコミュニケーションが行われるという仕組みです。
AI非搭載型との違いとは?
チャットボットは、大きく分けるとAI搭載型とAI非搭載型に分けることができます。後者はルールベース型(シナリオ型)とも呼ばれており、あらかじめ設定したシナリオに基づいて対応を行う仕組みとなっています。
両者の主な違いについては以下の通りとなります。
- 自然言語を理解した高度な対応が可能。
- ユーザーの意図を汲み取った対応や複雑な対応を行わせたい場合に適している。
- 設定・メンテナンスには手間と時間がかかる。
- 導入コスト・運用コストが高額。
- 定型的な対応に対して確実な回答を返せるのが強み。
- 比較的回答数が少ないFAQ対応には適している。
- 設定・メンテナンスにかかる手間と時間が少なめ。
- 導入・運用コストがリーズナブル。
機能・性能においてはAI搭載型の方が優れていますが、上記のように両者では強みや特性が異なるため、自社の状況やチャットボットの利用目的に合わせた選択をすることが重要となります。
AIチャットボットで解決できる課題
続いて、AIチャットボットの導入で解決が期待される課題について解説します。
問い合わせ件数の削減
AIチャットボットで解決できる課題の代表格が、問い合わせ件数の削減です。社内の問い合わせ対応を担当する部署は、日々多数の質問・疑問への対応に追われて負担を感じています。社員から寄せられる問い合わせのなかには、ツールやシステムの操作方法など自身で調べれば解決できるような内容も多く含まれており、問い合わせ件数が増加する大きな原因となっています。
AIチャットボットを導入すれば、定型的な質問の多くは自動で対応できるため、問い合わせ件数を大幅に削減することができます。FAQやマニュアルのように自身で情報を探す手間や時間もかからないため、社員自身による問題・疑問の自己解決を促進することも可能です。
問い合わせ件数の多さに悩まされている場合は、件数を削減することで状況が大きく好転するケースが多いため、AIチャットボットによる課題解決をぜひ検討してみることをおすすめします。
社員満足度が低い
企業では、残業時間の増加・定型的な問い合わせ対応の繰り返しなど、日々の業務に疑問を感じている社員やモチベーションが低下している社員も少なくありません。社内ヘルプデスクの場合は、利用者側がスムーズに回答を得られないことによる不満やストレスを抱えているケースも多くあります。
AIチャットボットを導入すれば、問い合わせ対応業務の担当者は業務負担が軽減され、残業時間を削減することが可能です。定型的な問い合わせ対応からも解放され、より重要な業務に取り組むことができるため、モチベーションの向上も期待することができます。社内ヘルプデスクの利用者についても、スムーズに回答が得られることで満足度が向上します。
近年では企業の生産性向上・企業価値向上のためには社員満足度を向上させることが重視されています。問い合わせ対応の担当者・利用者の社員満足度向上にも貢献できることは、AIチャットボットを導入する大きなメリットと言えるでしょう。
時間を問わず問い合わせできる
有人による問い合わせ対応業務は基本的に営業時間内にしか対応することができないという課題を抱えています。
時間を問わずすぐに回答を得ることができるAIチャットボットを導入すれば、営業時間の制限による問い合わせ対応の課題を解決することができます。また、AI搭載型のチャットボットは定型的な問い合わせだけでなく高度な対応が可能であるため、多くの問い合わせをカバーすることが可能です。
問い合わせを行うユーザーはすぐにでも問題・疑問を解決したいと考える傾向にあるため、時間を問わず対応できる環境を構築することで、ユーザーの満足度や利便性を大きく高めることができます。
テレワーク環境下での問い合わせ対応にも
Webサイトやクラウドツール上で動作させることができるAIチャットボットは、オフィスワークだけでなくテレワーク環境下の社内外の問い合わせ対応に非常に適しており、高いパフォーマンスを発揮することができます。
テレワークではコミュニケーションがオンライン上に集約されるため、AIチャットボットにより時間・場所に関わらずいつでもユーザーの問題や疑問を解決できる環境を構築することで、業務効率化・生産性向上に大きく貢献してくれます。
離脱率が高い
企業サイトで、離脱率が目立つ場合にも、AIチャットボットは有効です。
AIチャットボットをサイト内に併設すれば、顧客の自分での問題解決を促進できるので、必然的にWebサイトの滞在時間が増加します。それ以外にも、特定の問い合わせに関連したURLやメルマガの通知も可能なため、活用の幅は広いでしょう。
また、問題解決のためだけではなく、顧客のニーズに応えるコンテンツを豊富に用意することもポイントです。Webサイトへの流入数も増え、社員の負担軽減と顧客の離脱率向上が期待できます。
AIチャットボットにはタイプがある?
AIチャットボットには、多くの導入メリットがあることをお分かりいただけたかと思います。
そんなAIチャットボットですが、「問い合わせ対応型」「マーケティング支援型」の2タイプがあります。ここでは、それぞれのタイプについて見ていきましょう。
問い合わせ対応型
問い合わせ対応型は、有人で行っていた問い合わせ対応を代替するもので、対応効率の改善や顧客満足度の向上などを目的に導入されます。
顧客・社員からの問い合わせに対し、いかに効率的に、かつ正確に回答できるかがポイントとなります。
マーケティング支援型
マーケティング支援型とはCVR向上・潜在顧客の育成・既存顧客のロイヤリティ向上の観点から、会社の売上向上を目的とするチャットボットです。
企業のWebサイトにチャットボットを設けてCVR向上を実現し、双方的なコミュニケーションを実装することで顧客の興味を高めます。具体的には、蓄積された会話や属性データに応じたサービス・情報の提供や、チャットの積極的な活用によって顧客との継続的な接点が持てます。
そして、商品・サービスを利用した顧客とオリジナリティあるコミュニケーションを取ることにより、既存顧客のロイヤリティ向上にも貢献できるでしょう。
<最新>おすすめAIチャットボット11選を比較!
ここでは、おすすめのAIチャットボットを9つご紹介します。
<問い合わせ対応型>AIチャットボット
まず、問い合わせ対応型のAIチャットボットを5つご紹介します。
hachidori Assistant
hachidori Assistantは、hachidori株式会社が提供するAIチャットボットです。顧客とのコミュニケーション品質を重視しており、言語学習能力が高いAIを搭載。フリーワード入力にも対応しています。
また、hachidori Assistantは、グラフィカル・ユーザー・インターフェースという、情報の表示にグラフィックを多く用いるプログラムを採用しており、チャットボットの運用に慣れていない方でも直感的に操作できるような仕様となっています。
さらに、有人チャットツールとの連携が可能で、自動対応と有人対応の切り替えが可能です。そのため、柔軟な対応が実現するでしょう。
出典:hachidori Assistant
https://assistant.hachidori.io/
KARAKURI
KARAKURIは、カラクリ株式会社が提供しているAIチャットボットです。Q&Aに強いアルゴリズムを搭載しているため、極めて高い正答率が大きな強みです。チャットボット設置後に起こりうる、「回答精度が低く、評判が悪い」といった問題が起こりにくいでしょう。
そのほかにも、初期検討の段階から、コミュニケーション設計・会話シナリオ設計・導入前テストなどを実施する初期構築・業務設計・フィードバックや運用後の編集に至るまで、総合的なサポートが受けられます。
さらに、KARAKURIはカスタマーサポートでの運用を前提に作られたツールということもあり、操作性に優れる点も魅力です。
出典:KARAKURI
https://karakuri.ai/
AI Messenger Chatbot
AI Messenger Chatbotは、株式会社AI Shiftが提供しているAIチャットボットです。
初期段階の問い合わせデータの分析や初期設計を代行してくれるため、自社の現状に最も合ったツールを活用できることが大きなメリットです。
また、独自のテクノロジーである「AI compass」により、複雑な会話データをAIが自動で分析してくれるため、分析経験が少ない方でも簡単に運用できます。さらに、追加料金不要で有人チャットと組み合わせた活用も可能です。有人対応も並行して行いたい場合などにも柔軟に対処できるでしょう。
また、AI Messenger Chatbotは分析段階からフルサポートを受けたい場合におすすめのツールで、現在まで100社を超える企業への導入実績があります。特にカスタマーサポートの現場からは、充実の機能とサポート内容から大きな支持を得ています。
出典:AI Messenger Chatbot
http://www.ai-messenger.jp/
HiTTO
HiTTOは、HiTTO株式会社が提供しているAIチャットボットです。2つのAIを搭載していることが特徴で、活用頻度に応じて、より高い回答精度・会話精度を実現できます。
また、用途に合わせてさまざまなチャット形式を利用できる点も魅力です。例えば、すぐに回答が必要な場合は一問一答形式のチャットが便利です。確実に問題を解決したい、今後予想される関連問題も学びたい場合は、シナリオ形式や関連質問サブジェクトを活用することで、さまざまな情報を効率良く取得できます。
さらに、HiTTOは Chatwork・Microsoft Teams・LINE WORKS・Slack・ Hangouts chatなど、さまざまなビジネスチャットと連携できます。効率良くナレッジを共有したい方、スムーズに社内にチャットボットを浸透させたい方に最適なAIチャットボットです。
出典:HiTTO
https://hitto.jp/
KUZEN
KUZENは、株式会社コンシェルジュが提供するAIチャットボットです。社内アシスタント業務からカスタマーサポートまで、さまざまなコミュニケーションを自動化することができます。
KUZENの最大の特徴は、ノーコードでAIチャットボットを構築可能な点です。専門的知識などは必要なく、直感的な操作で回答シナリオを作成することができます。
さらに、MS TeamsやSlack、LINEなど対話インターフェースと連携でき、業務効率と生産性向上に寄与します。
大手企業の実績が豊富な点も、導入時に安心できるポイントでしょう。
出典:KUZEN
https://www.kuzen.io/
OKBIZ. for AI ChatBot
OKBIZ. for AI ChatBotは、株式会社オウケイウェイヴが提供するAIチャットボットです。
約3,700万件のAI学習ビッグデータと、独自の技術でサポート業務の効率化を実現している点が特徴です。
また、インテリジェンスラーニング技術と学習データを併用して活用し、最小限の工数でも高い回答精度を発揮します。
自動聞き返しで、特定のシナリオを用意していなくてもAIの判断で返答を行う機能や、自律学習で回答の精度を高める機能なども備わっていることもポイントでしょう。
出典:OKBIZ. for AI ChatBot
https://www.okbiz.jp/solutions/okbiz-ai-chatbot/
COTOHA Chat & FAQ
COTOHA Chat & FAQは、NTTコミュニケーションズが提供するAIチャットボットです。
社内ヘルプデスクやカスタマーサポートに対応し、独自のセマンティック検索とAI学習機能によって高精度な回答を実現することができます。
事前学習で蓄積された膨大なデータによって、AI学習にかかる負担が軽減され、導入後すぐに実用的なAIチャットボットとして運用できる点が魅力でしょう。
また、Q&Aデータの用意が難しい場合においても、初期設定から運用支援まで充実のサポートを受けることができます。
出典:COTOHA Chat & FAQ
https://www.ntt.com/business/services/application/ai/cotoha-cf.html
<マーケティング支援型>AIチャットボット
続いて、マーケティング支援型のAIチャットボットを2つご紹介します。
AI.BiS
AI.BiSは株式会社ジーニーが提供するAIチャットボットです。Webサイト訪問者の可視化・受注見込みがある際の、自動対応と自動営業という優れた機能を備えていることが特徴です。既存顧客や新規顧客など、訪問者の属性情報を簡単に把握でき、顧客が自社のターゲット層か否かを判別する機能などが搭載されています。
大型案件につながりやすいユーザーを自動で判別するだけでなく、見込み客のサイト内アクションから受注の確度などを推定してオペレーターに表示できるので、売上アップに直結しやすいチャットツールと言えるでしょう。
また、自動営業機能により、必要以上に発生していた人件費も削減できます。売上向上と経費削減を同時に行いたい方、顧客判別を自動で行いたい場合におすすめのサービスです。
出典:AI.BiS
https://aibis.info/
ChatBook
ChatBookは、株式会社チャットブックが提供しているAIチャットボットです。オンライン上の顧客接点データやコミュニケーションを統合し、Webサイトや各種SNSで動作するチャットボットに誘導し、顧客対応を自動化するマーケティングに特化しています。
また、テンプレートからの会話選択と登録の工程のみで運用でき、インサイドセールスに向くさまざまな機能が利用できるため、費用対効果に優れます。効率的にSNSで顧客を獲得したい方、チャットの既読率を上げたい方はChatBookの導入を検討してみましょう。
出典:ChatBook
https://chatbook.ai/jp/
<マーケティング支援型>AI非搭載のチャットボット
マーケティング支援型のチャットボットは、先ほどご紹介した「AI.BiS」や「ChatBook」のように、AI技術を搭載したものも中にはありますが、基本的にAI非搭載のものが多い傾向にあります。
そのため、ここではAIが搭載されていない、マーケティング支援型のチャットボットを2つピックアップして見ていきましょう。
Zeals
Zealsは、株式会社Zealsが提供するチャットボットです。会話構築から運用まですべて委託できるため、自社での工数を抑えて最短一週間でチャットボットの運用を開始できます。
200社を超えるチャットボットの会話を構築してきたプロのコミュニケーションデザイナーが設計を行うので、高品質なボットを導入できる点も大きな魅力でしょう。
また、料金体系も成果報酬制であるため、無駄な費用は発生しません。LINEや各種決済サービスとの連携により、商品・サービスの購入をよりスムーズに少ない工程で行えるメリットがあり、CVR向上にも大きく貢献します。
ローリスクでチャットボットを導入したい方、工程をなるべく減らしたい方にZealsはぴったりでしょう。
出典:Zeals
https://lp.fanp.me/
SYNALIO
SYNALIOは、株式会社ギブリーが提供するチャットボットです。
デジタルマーケティングに特化しており、顧客ごとにカスタマイズされたさまざまな割引クーポンやプレゼントの提案、顧客の特性に合わせた施策の案内などが可能です。
また、自社のサイト内にタグを設置するだけで導入できるので、その手軽さからも人気を集めています。チャットボットを試しに導入したい方、ウェブマーケティングを自動で実行してくれるチャットボットを探している場合におすすめです。
出典:SYNALIO
https://synal.io/
AIチャットボットの選び方
AIチャットボットは、前章で紹介したものも含めて、数多くのサービスが各社から提供されています。
そのため、チャットボットの選定の際には、あらかじめ比較ポイントをおさえておくことが必要不可欠です。自社が解決したい課題をよく把握・分析することで、自社ニーズに最適なチャットボットを選べるでしょう。
導入目的を明確にする
ここまでご紹介した通り、AIチャットボットはそれぞれが得意とする領域や搭載している機能が多種多様であることがわかります。そのため、チャットボットを選ぶ際には、第一に自社の導入目的を明確にすることが重要です。
導入の目的は、主に以下のように大別できます。
- 工数削減
カスタマーサポート・社内ヘルプデスクの対応業務の一部をチャットボットに置き換えることで、工数削減を図る - 顧客満足度向上
スピーディーかつ精度の高い回答で、顧客満足度の向上を図る - ブランディング
ブランディングの一貫としてチャットボットを導入し、カスタマーエクスペリエンスの向上を図る - 機会損失の防止
適切な商品情報で顧客の疑問を解決し、確実な売上を図る
上記のうち、どの目的が自社ニーズと合致するかを検討し、目的を達成できる機能を備えたチャットボットを選択するといいでしょう。
必要な機能が備わっているか確認する
AIチャットボットに搭載されている機能は製品により異なるため、製品を選ぶ際にはまず自社の導入目的・用途を満たせる機能が備わっていることを確認することが先決となります。よく検討される機能要件には、例えば以下のようなものがあります。
- AI機能(学習機能)
- 有人対応連携機能
- 外部連携機能(ツール・システム)
- レコメンド機能
- 聞き返し機能
- 多言語対応機能
必要な機能が不足している製品を選んでしまうと導入自体が失敗してしまい、時間・労力・コストを大きくロスしてしまうため、機能要件については何度も検討を重ねて慎重に製品を選ぶようにしましょう。
サポート体制が整っているか確認する
AI搭載型のチャットボットの導入・運用には、非AI搭載型のチャットボットよりも高度な知識や専門的な知識を多く必要とします。そのため、製品を選ぶ際にはサポート体制が整っている製品を選ぶことが非常に重要です。
サポートが充実していれば、導入・運用時に技術的な課題が生じた際にも不具合やトラブルが起きた際にも、スムーズに解決することができます。
サポート体制をチェックする際には、サポートの範囲・対応時間・レスポンス・対応の質など具体的に提供されるサポートの内訳まで細かくチェックすることがポイントとなります。
AIチャットボットの導入・運用の成功はベンダーのサポート体制・サポートの質に大きく左右されるため、製品を選ぶ際には入念な確認を行っておきましょう。
さまざまな視点で比較する
高性能なチャットボットは数多くありますが、性能だけでなくさまざまな視点から比較・検討する必要があります。
例えば、AIチャットボットは機能を確実に活かした、運用体制の構築が肝だとされています。そこで重要となるのが、ベンダーのサポート体制です。導入支援はもちろん、定期的なチューニングに対するサポート体制が整っているのかまで確認しましょう。
さらに、継続的な運用を行うためには、費用対効果が高いもの、専門知識がなくても使用できる高い操作性なども重要な検討材料です。
これらは、資料などでは判別できないことが多いため、無料トライアルなどで実際の使用感を試してみることをおすすめします。
連携性を確認する
チャットボットツールは他サービスとの連携を前提に作られているものもあります。
例えば、チャットボットと相性が良いツールはメール配信システムです。この2つを組み合わせることで、様々な使い方ができます。
その中でも最も汎用的なのが、チャットボット内で反応が大きかったコンテンツや質問が多かった内容をコンテンツにしてメール配信システムで一斉送信することです。これは社内向けでも社外向けでも問題ありません。
さらに、チャット内でリード情報を獲得することができれば、メルマガ配信のリストに追加することも可能となります。
また、チャットボットはあくまで受け身のツールとなるためこちらからのアクションができません。一方でメールであれば攻めの情報発信ツールとして活用できます。
これらのことからもチャットボットとメール配信システムの相性は良いと言えるでしょう。
料金の安さだけで選ばない
AIチャットボットは導入コスト・運用コストともに高額な傾向があるため、ついコストの安さを重視して製品を選んでしまいがちです。確かにコスト面も重要な検討項目のひとつではありますが、製品選びは自社の目的・用途を満たせることや必要な機能を満たしていることが前提となるため、コストを優先して製品を選ぶと失敗する大きな原因となります。
まずは自社に適した製品のピックアップを行い、コストの比較検討については最後に行うようにしましょう。
導入事例を見る
AIチャットボットを選ぶ際には、対象となる製品の導入事例を必ずチェックしておくことが重要です。実際の事例を参考にすることで、以下のような製品説明だけでは分からないさまざまな点を検討できるためです。
- 導入企業の規模・種類・数から製品の信頼性を判断できる
- 企業が製品を導入した背景や課題から解決にまでのプロセスを確認できる
- 製品の機能・性能・特性についての理解度が高まる
- 事例を多く確認することで自社に適しているかを判断する精度が高まる
- ベンダーのサポート体制を確認できる
特に、自社の課題に近い事例や同じ業界の事例については、重点的に確認しておくことをおすすめします。
無料トライアルで使い勝手のいいものを選ぶ
AIチャットボットは高機能である反面、自社が求める機能であるかを判断するのが難しいため、導入前に無料トライアルを実施して使い勝手のいい製品を選ぶことが重要です。
トライアルを行うことで、製品案内だけでは分からなかった以下のような点についても検証を行うことができます。
- 自社の目的・用途に合っているか
- 操作性・機能性に問題は無いか
- 設定やメンテナンスにどの程度の労力がかかるか
上記の項目について検証を行うには、最低でも半月程度の期間は必要となります。無料トライアルが可能な製品を選ぶと同時に、検証を行うためのスケジュールも確保しておきましょう。
AIチャットボットを導入する前に…
チャットボットを導入して確実な効果を得るためには、回答シナリオの精度を高めるための準備が必要です。
回答シナリオの精度はユーザー対応の品質を左右するため、AIチャットボットに最適化したデータを導入前に準備しておくことが大切です。
現状の対応業務を測定しておく
AIチャットボット導入による効果測定を行えるように、現在の環境における対応業務の数値化を行います。
例えば、問い合わせ対応件数を通話オペレーター・メール対応ごとに数値化します。この数字を基準に、チャットボット導入で問い合わせ件数に削減効果があるのかどうか測定を行います。
測定の結果、従来の問い合わせ対応よりもメール・電話での問い合わせが減少していれば、チャットボットが課題解決に効果を発揮していることがわかります。さらに、効果測定で得られたデータをAIチャットボットに蓄積し、分析・検証を経てさらなる品質の改善につなげることが可能です。
運用担当者を決めておく
機械学習を通じて回答の精度を自ら高めるAIチャットボットですが、学習データに問題があると精度が低下する恐れがあります。
そのため、導入後は運用担当者を決めて、AIチャットボットの適切なチューニングが必要不可欠です。さらに、運用後にCVRが高い回答シナリオを充実させる、商品ラインナップの変更に伴い回答シナリオを変更するといった作業も想定されます。
こうした作業は運用担当者が決まっていない場合は後回しにされてしまいがちです。効果的にAIチャットボットを運用するために、まずは担当者のリソースを確保し、安定的にチューニングができる準備を整えておきましょう。
登録内容を精査しておく
高性能なAIチャットボットですが、全てのケースでのユーザーニーズに対応することは難しいといえます。
しかし、過去の問い合わせ対応業務やオペレーターからのヒアリングによって、高精度のAIチャットボットを構築することは十分可能です。
問い合わせ頻度が高く、業務改善への影響が大きい問い合わせへの対応を重点的に整備するなど、登録内容を精査したうえで構築作業を進めましょう。
まとめ
この記事では、AIチャットボットをタイプ別に紹介するとともに、導入メリットなどを解説しました。AIチャットボットは目的に応じて、さまざまな種類のサービスが提供されています。
また、技術も日々進化しているので、新しいソリューションの誕生も期待されます。
AIチャットボット導入を検討する際には、自社の運用目的などを明確にしてサービスの比較を行いましょう。