リモートワークの導入にあわせ、オンラインで業務をおこなう環境を整える企業が増えました。クラウドで作業できる環境として、Google Workspaceを採用している企業も多いのではないでしょうか。
Google Workspaceを活用するうえで欠かせないのがGoogleチャットです。Googleチャットを導入すると、チームでの作業効率を向上させることが可能です。
そこからさらにチャットボットを連携して社内問い合わせ対応を自動化すると、一気に利便性を向上できるのでおすすめです。
今回は、Googleチャットにチャットボットを連携するメリットや、おすすめのチャットボットをご紹介します。
Googleチャットとは?
Googleチャットとは、Googleが開発・提供しているコミュニケーションソフトウェアのことです。Google Workspaceアカウント向けと個人アカウント向けの2種類が提供されており、個人向けでは一部機能に制限がありますが、Google Workspaceアカウントを所持していれば、全ての機能を利用することができます。
例えば、ダイレクトメッセージ・グループチャットを用いて、リアルタイムでスピーディーな情報伝達・メッセージのやり取りを行うことが可能。Google Workspaceの各機能やファイル・タスクの共有・共同編集を行うこともできるため、チームでの仕事・作業の効率性・利便性を大幅に向上させることができます。
Googleチャットの主な特徴について、続けて以下にご紹介していきます。
①さまざまなデバイスやWebサイトから利用できる
Googleチャットは、パソコンを利用している場合はGoogleチャットのページ・Gmail・Googleカレンダーから、スマホ・タブレットの場合はGoogleチャットの専用アプリから利用することが可能です。
さまざまなデバイス・さまざまな経路からアクセスできるため、いつでもどこでも必要な時にチャットを利用できることが大きな特徴。社内だけでなく社外のメンバーとも常にメッセージのやり取りや情報共有を行うことができます。
②専用スペースを持てる
Googleチャットでは複数ユーザーとチャットできる「スペース」を持てます。スペースはグループチャットとは異なり、会話がスレッド形式で表示されるので、チームでプロジェクトに取り組みたいときや決められたトピックスについてディスカッションしたいときに便利です。
③ChatやスペースではGoogle Workspaceの機能を有効活用できる
Chatやスペースでは、Googleドキュメントやスプレッドシート、スライドなどのコンテンツを共有しながら、シームレスに共同編集できます。チームで仕事を進めるときに、いちいち個別にメールやチャットで連絡を取り合う必要がなくなるため、作業効率が上がります。
Googleチャットにはボットを追加できる
Googleチャットには、Google Chat botとよばれるボットを追加できるのも大きな特徴です。ボットとは、オンライン上でアカウントを自動運用したり、タスク・処理を自動で実行したりできるシステムのことです。
現在Googleチャットには、Googleが提供するものも含めて100種類以上のボットが用意されており、Google Workspaceアカウントを有料版へと移行することで、チャット上でボットを利用することが可能です。
代表的なボットには、以下のようなものが挙げられます。
Google Chat bot
- Meet bot
Googleカレンダーと連携してスケジュール・タスク管理を行う - Drive bot
Google Driveと連携してファイル共有・更新・通知等を行う
Google以外が提供するボット
- Zoom bot
Googleチャットから会議のセッティング・アクセスが可能 - Stats bot
Google Analyticsと連携して定期的な通知等が可能 - GitHub
Google GitHub上で発生したイベントの通知が可能 - チャットボット
自動会話プログラムであるチャットボットを設置してFAQ対応を行わせることも可能
Googleチャットでは、このようにさまざまなボットを追加することで、利便性や作業効率を向上させることが可能。特におすすめとなるのが、次章以降で詳しくご紹介する「チャットボット」です。
Googleチャットのボットを利用する際の注意点
Googleチャットのボットを利用する際には、以下のような点に注意しておく必要があります。
- 更新・メンテナンスされていないボットがある
ボットのなかには更新やメンテナンスが滞っており、現在は利用できないものや、利用に懸念があるものもあるため注意が必要。 - サポートが英語
ボットのサポートは英語で提供されているため、解釈が難しい場合がある。不安や懸念が残る場合は翻訳を活用するのがベター。 - コマンド送信が日本語非対応の場合がある
ボットによりコマンド送信の日本語対応の可否が分かれるため注意が必要。英語のみの場合は使い勝手が悪い場合もある。
チャットボットとは?
チャットボットとは、質問に対する適切な回答を、チャット形式で返してくれる自動応答システムを指します。チャットボットには、「シナリオ型」と「AI型」があります。それぞれ以下のような特徴を持っています。
あらかじめ設定したシナリオに沿って回答を返す。一問一答形式のパターン化された質問への回答が得意。
搭載されたAIが入力された文章を解釈して適切な回答を提示する。AI型は単純な質問はもちろん、より複雑な質問への回答にも対応できる。質問と回答を繰り返すことでAIが機械学習し、回答精度が上がっていく。
チャットボットはECサイトや予約サイトなどさまざまな場面で活用されていますが、近年の人材不足を背景に、社内問い合わせ対応にも導入する企業が増えてきました。人材が不足するなか社内対応にリソースを割くと、コア業務に手が回らなくなってしまうためです。
さらに近年はリモートワークを採用する企業も多く、対面や内線で気軽に質問できなくなったことも、社内問い合わせ対応にチャットボットを導入する企業が増えてきた理由です。
一般的なチャットボットの設置方法
一般的にチャットボットは、既存のサイトにタグを埋め込むことでチャットボットを画面の片隅に表示させ、そこで質問を受け付けます。
社内問い合わせであれば、従業員が気軽に質問できるように社内ポータル・グループウェア・社内システム等に設置する企業が多いようです。
Googleチャットにチャットボットを設置する場合には、大きく分けて2種類の方法がありますので、以下にそれぞれ解説します。
Googleチャットへのチャットボット設置方法
Googleチャットへチャットボットを設置するには、ベンダーが提供している既存の製品を連携させる方法と、自身が開発したボットを設置する方法の2種類があります。
以下に、それぞれの方法のメリット・デメリットについて解説します。
メリット | デメリット | |
チャットボット製品を連携 | 工数が少なくて済むさまざまな製品から選べる | 導入・運用にコストが必要設定・メンテナンス・チューニングは必要 |
自社開発したボットを設置 | 自由に機能を実装することができる導入・運用にコストが発生しない | 開発・運用に要する人的コストは必要高度な知識・スキルが必要 |
自社開発は難易度が高く時間と労力も必要となるため、基本的には各ベンダーが提供しているチャットボット製品から、自社の状況・環境にあうものを連携させるのがおすすめです。
Googleチャットへのチャットボットの設置自体は、以下の方法・手順で簡単に行うことが可能です。
Googleチャットでボットを追加する方法
- チャット画面の「Chat」の横にある「+」のアイコンをクリック
- 「アプリを検索」から使いたいボットを探す
- ボットが見つかったら、「スペースに追加」を選択
Googleチャットにチャットボットを連携するメリットとは?
Googleチャットは、一部のチャットボットツールとの連携が可能です。チャットボットを連携することで、以下のようなメリットがあります。
- 普段使っている画面からチャットボットに質問できる
- 問い合わせ対応を自動化できる
- 対応が必要な問い合わせ件数を削減できる
- 従業員の困りごとが可視化される
具体的な内容について、順番に確認しましょう。
普段使っている画面からチャットボットに質問できる
Googleチャットにチャットボットを連携すると、普段使っているチャットやスペースの画面から、直接チャットボットに質問できるようになるのがメリットです。
たとえばスペースで共同作業を進めているときにチャットボットに質問したいと思っても、わざわざ別の専用アプリを立ち上げたり社内ポータルに画面を切り替えたりするのは面倒ですよね。「面倒だからまあいいか」とあきらめてしまうと、結果的に疑問が解消されないままとなってしまいます。
しかしGoogleチャットから直接チャットボットを呼び出し質問できれば、手間に感じることがありません。チャットボットの使用率が向上することも期待できるでしょう。
問い合わせ対応を自動化できる
Googleチャットにチャットボットを導入すると、社内問い合わせの対応を自動化できるのもメリットです。
社内ヘルプデスクや総務などバックオフィス部門には、日々さまざまな質問が寄せられます。しかし似たような質問ばかりが続いて、重い負担がかかっている担当者も多いのではないでしょうか。
そのようなときにチャットボットがあれば、従業員はGoogleチャットから気軽に自分で回答を引き出せます。しかもチャットボットであれば、24時間365日、どこからでも問い合わせ対応が可能です。
働き方改革やリモートワークの増加などで、働き方が多様化するなか、いつでもどこからでも問い合わせに対応できることは、従業員には大きなメリットとなるでしょう。
対応が必要な問い合わせ件数を削減できる
問い合わせ対応を自動化することで、対応件数を削減できるのもメリットです。
社内問い合わせに対応する情シスや総務は、それがメインの仕事ではありません。自分たちのコア業務を抱えながら、時間を縫って寄せられる問い合わせに応じていることがほとんどです。
問い合わせが集中するときには、日中は問い合わせ対応に追われ、自身の仕事に手を付けるのは、終業時間が終了してほかの従業員が退社してから、といったこともあるでしょう。
そのようなケースでチャットボットを導入して一次対応を任せれば、担当者はチャットボットが回答できない複雑な質問だけに応じればよくなります。有人対応しなければならない問い合わせ件数が減ることで、担当者は自分の業務に集中できるようになるのです。
従業員の困りごとが可視化される
チャットボットには、寄せられた問い合わせのデータを蓄積する機能が備わっています。そのデータを分析することで、従業員の困りごとを可視化できるのもチャットボットを導入するメリットです。
チャットボットに寄せられる質問は、裏を返せば「わからなかった」「理解できなかった」ことを意味します。たとえば就業規則に関する質問が多ければ、そもそも就業規則の保管場所がわかりづらい可能性が考えられます。
また有給申請の方法についての問い合わせが多ければ、社内ポータルのよくある質問に手順とあわせて申請書を掲載すれば問い合わせが減るかもしれません。さらにオンラインで申請できるようにすれば、従業員の利便性を高めることにもつながります。
チャットボットに蓄積されたデータを活用すれば、業務や制度のわかりづらいポイントが明確になり、改善を進めていけるのです。
Googleチャットと連携が可能なチャットボット
ここではGoogleチャットと連携できるチャットボットを、2つ紹介します。
- PEP
- HiTTO
それぞれ特徴が異なるため、自社にあったチャットボットを選びましょう。
PEP
PEPは業務上の問い合わせ対応を自動化し、組織内のコミュニケーションの生産性を向上させる社内チャットボット作成ツールです。
「社内ヘルプデスクの工数を減らしたい」「問い合わせへの返事が遅くて業務が進まない」といったときに、Googleチャットと連携することで問い合わせ対応を自動化できます。
選択肢型(シナリオ型)、会話型(一問一答型)のどちらにも対応。有人チャットと連携させて、曜日や時間ごとに対応を切り替えることも可能です。
HiTTO
HiTTOは人事や総務、労務、経理、情シスなどバックオフィスのナレッジを体系化し、質問パターンを学習させたAI型チャットボットです。
社内利用を前提に開発されたAIが搭載されているので、FAQデータの作成やシナリオ設計などの準備不要で使い始められます。運用開始後も、AIが機械学習していくためメンテナンスに長い時間をかける必要がありません。
問い合わせ対応の工数を減らすのはもちろん、オリジナルキャラクターを設定することで、従業員が愛着を持って気軽に使ってもらえるように工夫されているのもHiTTOの特徴です。
まとめ
Googleチャットにチャットボットを連携すると、Googleチャット上で社内問い合わせを完結できるようになるため業務効率を向上できます。
社内問い合わせを担当しているバックオフィス部門の業務負担を減らすのはもちろん、問い合わせする側の従業員の利便性を高められるのがメリットです。
ぜひ導入を検討してみてください。