近年、サービスサイトやECサイトなど、さまざまな場所で「チャットボット」を目にする機会が増えました。業務効率化などさまざまなメリットがあるチャットボットは、カスタマーサポート以外にも、社内のヘルプデスク業務に活用されたりと、活躍の幅を広げています。
その中でも、高度な学習機能を備える「AIチャットボット」は、複雑な質問にも応答可能で、人間と対話しているかのような自然な会話ができるとして注目が集まっています。
今回は、「AIチャットボット」とは何か、メリット・デメリット、活用例まで徹底解説していきます。
「チャットボット」とは?
「チャットボット(Chatbot)」とは、問いかけに対して、ロボットが音声やテキストを用いて返答する「自動会話プログラム」のことです。
チャットボットを用いることで、カスタマーサポートや社内ヘルプデスクの対応業務を一部無人化できます。業務効率化や対応スタッフの負担軽減といった効果が期待できるとして、近年多くの企業に導入されています。
チャットボットの種類
現在、さまざまなベンダーからチャットボットが提供されており、大きく2種類に分類することができます。
人工知能を搭載し、自ら判断・学習する「AI(人工知能)チャットボット」と、決められたルールに従い返答を行う「シナリオチャットボット(人工無能型)」です。この2種類の違いを説明する前に、まずはチャットボットの基本的な仕組みを簡単にご説明します。
チャットボットを導入する上で、「想定される質問」や「その質問に対する答え」など、あらかじめ会話に必要なデータを用意する必要があります。AIチャットボット(人工知能型)、シナリオチャットボット(人工無能型)共に、この基本的な仕組みは変わりません。それでは、両者の違いについて詳しく説明します。
AIチャットボット(人工知能型)
AI(人工知能)とは、学習・推論・判断など、人間のような知能をもつシステムのことです。
総務省が行った「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究(※)」によると、27人中26人が「AI(人工知能)は、今後の日本社会の課題解決に貢献すると思う」と回答したことからもわかる通り、近年注目されている技術だといえます。
AIは、膨大なデータを学習し、規則性を解析、自ら判断・予測します。そして、このAI(人工知能)を搭載したチャットボットが「AIチャットボット(人工知能型)」とされているのです。
一単語ではなく、文章全体から意味や感情を解釈し、ユーザーに合わせた言葉で応答するため、より人間に近しい自然な会話を行うことができます。
AIチャットボット(人工知能型)は、「想定される質問」や「その質問に対する答え」など、会話に必要な大量のデータをAI(人工知能)に学習させることで、利用することができます。その後、ユーザーとの会話を重ね、データの蓄積・学習を繰り返すことで、より幅広い内容の回答、より人間に近い自然な会話ができるようになるのです。
「さまざまな内容の質問が寄せられる」「ユーザーにチャットボットとの会話を楽しんでもらいたい」などという場合には、AIチャットボット(人工知能型)を選ぶべきでしょう。
シナリオチャットボット(人工無能型)
「お問い合わせの内容を、この中から選択してください」などと、選択を繰り返すことで回答に辿り着くチャットボットを利用したことはありませんか?このように、ユーザーにいくつかの選択肢を与え、最終的な答え(情報)を導き出すチャットボットを、シナリオチャットボット(人工無能型)といいます。
シナリオチャットボット(人工無能型)は、「Aという選択肢が選ばれた場合は、Bと回答する」といったシナリオをあらかじめ設定しておく必要があります。
AIチャットボット(人工知能型)が、「自然な会話」「高度な情報提供」を得意とするなら、シナリオチャットボット(人工無能型)は、「限られた範囲での正確な回答」が得意だといえるでしょう。AI(人工知能)を搭載していないため、あらかじめ設定したシナリオの範囲内の回答しかできませんが、範囲内であれば正確な回答が可能です。「寄せられる質問がパターン化している」というような場合は、シナリオチャットボット(人工無能型)を活用するといいでしょう。
AIとチャットボットの違い
「AI=チャットボット」と認識されている方がいますが、これは誤りです。チャットボットは「AIチャットボット」と「シナリオチャットボット」の2種類に分類されると説明した通り、AIを搭載していないチャットボットも存在します。
シナリオチャットボットは、自ら判断する高度なAIが搭載されていません。「入力されたテキストからキーワードを抽出し、人間が決めたルールに従い返答する」、これを繰り返すことで、会話を成立させています。
人間は他者と会話をするために言語を「学習」し、他者が考えていることを「推論」して、どのような返答をするのか「判断」し、会話を成立させます。AI(人工知能)も、人間と同じように「学習」「推論」「判断」し、会話を成立させます。シナリオチャットボットも、ユーザーからすると機械が自ら判断して回答を導き出しているように見えるため、「AI=チャットボット」という誤認が生まれたのかもしれません。
AIは、あくまでもチャットボットに活用されている技術のことであり、「AI=チャットボット」ではないことを理解しておきましょう。
一見すると、AIチャットボットは優れているようにみえますが、もちろんデメリットも存在します。次章ではAIチャットボットのメリット・デメリットについてご紹介していきます。
AIチャットボットのメリット・デメリット
自ら学習・判断するAIチャットボットは、会話を重ねることで、より複雑な質問に応答できるようになります。一方、会話を成立させるためには、膨大なデータが必要です。
ここからは、AIチャットボットのメリット・デメリットについて詳しく説明します。
メリット
AIチャットボット最大のメリットは、複雑な質問にも対応できることです。AIチャットボットは、蓄積されたデータを基に、ユーザーに合わせた最適な回答を導きます。そのため、データを蓄積すればするほど回答の精度が上がり、複雑な質問にも回答できるようになります。
例えば、ユーザーが営業時間について知りたい場合、「営業時間」「空いている時間」「何時までやっていますか」など、表現にゆらぎが発生します。シナリオチャットボットは人があらかじめ用意した質問にしか応答できないため、用意されていない単語や表現の質問には返答できません。
一方、AIチャットボットは、統計的に適切な返答を導くため、ルールに囚われることなく、ユーザーに合わせ適切に対応することができます。
会話を重ねることで、親しみのある自然な会話を行うことができ、「他社と差別化を図りたい」「AIチャットボットに、さまざまな対応をしてもらいたい」と考える企業で利用されています。
デメリット
AIチャットボットが自ら学習し判断するためには、会話を重ねデータを取得する必要があります。つまり、データがなければ自然な会話ができないということです。
AIチャットボットの回答精度を上げるためには、膨大なデータが必要となり、データが蓄積されていない状態では十分に機能を発揮できません。データの蓄積には時間がかかるため、初期段階では質問者の意図をつかめず、不満を抱かせてしまう恐れがあります。
また、誤ったデータを学習してしまうと、精度が下がり、不適切な回答をする危険性があります。そのため、実際にAIチャットボットが導き出した回答が本当に正しいのか、正しいデータを学習しているのかなどを確認し、人の手でチューニングする必要があるのです。
AIチャットボットがおすすめのケース
上記のメリット・デメリットから、全てのケースにおいて必ずしもAI搭載型のチャットボットの方がおすすめであるとは言い切れません。定型的な質問がメインである場合や用途が限られている場合は、AIなしを選択した方がスムーズに目的を達成できるでしょう。
- AI搭載型のチャットボットがおすすめとなるのは、主に以下のようなケースです。
- 社内ヘルプデスク等、単純にチャットボットに寄せられる質問・問い合わせの数が多いケース
- 有人でのヘルプデスク対応を減らしたい場合など、フリーワードでの柔軟な対応や人間の会話に近い対応を行いたいケース
- 専門的な分野や難しい分野を扱っており、質問・問い合わせの内容が複雑で高度な対応が求められるケース
AI非搭載型では対応できない難しい対応・高度な対応を行う場合や膨大な質問数に対応する必要がある場合は、AI搭載型を導入しなければ目的を達成できないでしょう。
判断に迷った場合は、AI非搭載型をまずは検討してみて、目的を達成できなければAI搭載型を検討するという考え方もおすすめです。
AI搭載型が適しているケースにおいても、十分なパフォーマンスを発揮するには事前の学習はもちろん運用開始後の学習・チューニングにより改善を重ねていくことが重要となります。
AIチャットボットを導入する効果とは?
AIチャットボットは、その特徴を生かすことでさまざまな導入効果が期待できます。ここでは、AIチャットボットを導入することで得られる主な効果について解説します。
問い合わせ対応の負荷軽減
AIチャットボットは24時間365日稼働させることが可能であり、AI非搭載型よりも高度な対応や柔軟な対応も可能であるため、問い合わせ対応の負荷を大幅に軽減できます。
回答精度・対応品質を高めるには定期的なメンテナンスが欠かせませんが、学習を繰り返すことでより多くの問い合わせをカバーすることも可能です。
現在問い合わせ対応に負荷を感じている場合は、AIチャットボットを本格的に運用することで、大幅に状況を改善することができるでしょう。
業務の効率・生産性向上
AIチャットボットをヘルプデスクやカスタマーサポートに導入し、できるだけ多くの問い合わせをチャットボットに代替させることで、担当部署の業務効率・生産性を向上させることができます。オペレーターは解放されたリソースをコア業務に割り振ることができるため、業務の質も向上させることが可能です。
社内向けヘルプデスクに導入する場合は、24時間365日いつでも疑問や問題を解決できる環境が実現するため、利用するメンバーの業務効率・生産性も高まります。
また、オンライン環境があればどこでも利用可能であることから、テレワーク環境下の業務効率化・生産性向上でも同等の効果を期待することができます。
マニュアルを一元管理できる
マニュアルは業務ノウハウや業務フローを詳細に掲載することができるため、企業活動の効率化には非常に役立つビジネスツールです。しかし、社内の各部署・各部門が作成しているマニュアルの種類や数が多ければ、共有も管理も煩雑化して必要な情報をスムーズに探すことが難しくなります。
AIチャットボットであれば、データベースに膨大な情報を蓄積することができるため、社内に点在するマニュアルを一元管理することが可能です。また、AIとの対話によりスムーズかつスピーディーに情報を引き出すこともできます。
マニュアルの種類や数は充実しているものの、上手く活用できていないという場合には、AIチャットボットの導入により大幅な状況改善が期待できます。
使いやすいUIで業務改善
企業ではさまざまなさまざま業務システムが利用されていますが、ITリテラシーの低い社内メンバーはシステムの利用に抵抗を感じたり上手く使いこなせなかったりするケースが多く、業務効率や生産性を阻害する要因となっています。
チャットボットをシステムに連携させておけば、対話を通じて複雑な操作手順を簡略化できるため、誰でも手軽にシステムを利用できる環境が実現します。
このように操作性・利便性に優れたUIにより他のシステムで行う業務を改善できることも、チャットボットの活用で得られる大きな効果のひとつです。
他のツールと連携しやすい
チャットボットツールは他サービスとの連携を前提に作られているものもあります。
例えば、チャットボットと相性が良いツールはメール配信システムです。この2つを組み合わせることで、様々な使い方ができます。
その中でも最も汎用的なのが、チャットボット内で反応が大きかったコンテンツや質問が多かった内容をコンテンツにしてメール配信システムで一斉送信することです。これは社内向けでも社外向けでも問題ありません。
さらに、チャット内でリード情報を獲得することができれば、メルマガ配信のリストに追加することも可能となります。
また、チャットボットはあくまで受け身のツールとなるためこちらからのアクションができません。一方でメールであれば攻めの情報発信ツールとして活用できます。
これらのことからもチャットボットとメール配信システムの相性は良いと言えるでしょう。
AIチャットボットの活用例
AIチャットボットは、機能・性能に優れており24時間365日休まずパフォーマンスを発揮できることから、社内ヘルプデスク・カスタマーサポートをはじめ企業内のあらゆるシーンで活用されています。
ここでは、AIチャットボットの代表的な活用例についてご紹介します。導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
社内ヘルプデスクとして活用
大企業を除く多くの企業の社内ヘルプデスクでは、慢性的に人員が不足していたり、専任の担当者が不在で他部署が兼任してしたりすることが一般的であるため、担当者は問い合わせ対応に大きな負担を抱えています。総務・人事がヘルプデスクを兼任している場合は、メイン業務への支障が発生してしまうという懸念もあります。
AIチャットボットであれば、対応時間外も含めて社内から寄せられる多くの問い合わせを自動対応することができるため、ヘルプデスクへ流入する問い合わせを大幅に削減することができます。問い合わせが多い内容に対し、FAQの整備を充実させれば、既存のわかりにくいシステムや仕組みを改修する糸口となるだけではなく、有益な情報や付加価値の高い経験・知識をAIチャットボットに集約し、業務の属人化を防ぐことも可能です。
担当者の負担や人手不足は解消され、兼任の場合は本来の業務に取り組むリソースを確保することができるでしょう。
実際に、社内ヘルプデスクにて電話による問い合わせ対応を年間72,000件行っていた企業がAIチャットボットを導入したところ、有人での対応を半分以下に減らすことに成功した事例もあります。
アサヒグループHD、社内OAヘルプデスク業務にAIを活用した新システム「AIヘルプデスク」を導入|日本経済新聞
以下の記事では、社内ヘルプデスクにAI技術を採用するメリットなどをまとめています。社内ヘルプデスク業務に課題をお持ちであれば、ぜひこちらもあわせてご一読ください。
カスタマーサポートとして活用
AIチャットボットは、社内ヘルプデスクのように社内向けの対応を行うだけでなく、社外の顧客に対応を行うカスタマーサポートにも活用することが可能です。
有人のカスタマーサポートは属人化による対応品質のばらつき・業務効率の低下・人手やリソースの不足といったさまざまな課題を抱えています。
AIチャットボットを活用すれば、時間・曜日に関わらず自動で対応を行うことができるため、上記の課題を解決して大幅な業務効率化・負荷軽減・コスト削減を実現することが可能です。実際に、顧客から寄せられる大量の問い合わせをAIチャットボットに任せることで、1件あたり平均5分かかっていた対応時間が、導入2ヶ月後には2分まで短縮された企業もあります。
重要な対応のみオペレーターに任せることで、カスタマーサポートの対応品質の底上げすることも可能です。カスタマーサポートへ問い合わせるユーザーも速やかに問題や疑問を解決できるため、顧客満足度やリピート率を高める効果も期待できます。
対応時間を6割削減!正答率95%超のAIチャットボットによる効果とは | 導入事例 | 企業の情報セキュリティ対策・ITシステム運用のJBS
コンバージョン率改善のために活用
サイトのコンバージョン率を改善したい場合にも、AIチャットボットは高い効果を発揮します。
Webサイト・ECサイト等でのコンバージョン率が低い場合の大きな原因は、ユーザーがコンバージョンを決断する十分な情報を得られず、離脱してしまうことです。
AIチャットボットをサイト上に常駐させておけば、ユーザーが欲しい情報を速やかに提供したり、顧客情報や行動履歴をもとに誘導やレコメンドを行ったりといった、購買行動の支援が可能です。また、会話データを分析してユーザーのニーズ・ウォンツを見いだすことで、販売に結び付くデザイン・導線・商品ラインナップも見いだすことができます。
AIチャットボットの活用でコンバージョン率を改善した事例は数多くあるため、販売効率を高めたい場合にはぜひ活用してみることをおすすめします。
AIチャットボットの導入方法は?
AIチャットボットを導入して運用をスタートするまでには、一定の準備期間が必要となります。ここでは、AIチャットボットを導入する方法をステップごとに解説します。
AIチャットボットの導入で達成したい目標・解決したい課題を明確に定義します。
チャットボットの会話のベースとなるシナリオ設計を行います。具体的には、会話の流れとAIに学習させる意図について検討を行います。
AIチャットボットが対応に使用するデータを整備します。ここでは、実際の対応時と同じく質疑応答形式となるようにデータを整備していきます。
AIに学習用データを読み込ませ、回答の精度を高めます。
作成したAIチャットボットを実際に活用するチャネルに設置します。設置が完了したら、リリース前に対応や動作に問題が無いかテストを行っておきます。
全ての準備が整ったら、AIチャットボットの運用をスタートします。運用開始後も、定期的にメンテナンス・チューニングを重ね、対応品質・回答精度を高めていきます。
チャットボットの選び方とは?
AIチャットボットには数多くの製品がありますが、適した用途や搭載されている機能はそれぞれ異なるため、自社に合った製品を選ぶことが重要です。ここでは、AIチャットボットの選び方について具体的に解説します。
- 課題の明確化・活用シーンをイメージ
まずはAIチャットボットで解決したい自社の課題を明確化して、活用シーンをイメージします。同様の課題を解決した成功事例・他社事例を数多く参考にすると、活用シーンを具体的にイメージしやすくなるためおすすめです。 - 機能・連携性を検討する
自社が求める要件を満たせる機能・連携性を備えた製品をピックアップしていきます。判断の精度を高めるために、製品紹介サイトや資料に掲載されている事例も確認しておきましょう。 - 無料トライアルの有無を確認する
機能・利便性・使い勝手といった細かい部分は実際に操作してみないと判断が難しいため、無料トライアルが可能な製品を絞り込みます。 - 自社のITリテラシーに合わせて製品を絞り込む
チャットボットの導入にあたっては、自社のメンバーが使いこなせることが重要となるため、自社のITリテラシーに合わせて製品を絞り込んでいきます。 - コストを検討する
最終的に残った製品のなかから、コストを比較検討して最終的に導入する製品を決定します。
このように製品に求める条件の優先順位付けを行い、段階的に製品を絞り込んでいくことで、自社に適したAIチャットボットを確度高く選ぶことができます。
おすすめAIチャットボットツールは?
ここからは、おすすめのAIチャットボットツールをご紹介します。
AIチャットボットツールの種類
AIチャットボットツールには、問い合わせ対応型とマーケティング支援型という2つの種類があります。それぞれの種類について見てみましょう。
問い合わせ対応型
「問い合わせ対応型」は、これまで人が行っていた問い合わせ対応を、代替するチャットボットです。問い合わせ対応型チャットボットの活用には、主に3つのメリットがあります。
一つ目は、コスト削減です。これまで人が行っていた対応業務を、チャットボットが代わりに行ってくれるため、コスト削減が期待できます。対応スタッフの採用コストや教育コスト、また業務が逼迫している場合、残業代などのコストを削減することができるでしょう。
二つ目は、レスポンスの向上です。チャットボットは24時間365日、休みなく稼働することが可能です。人の対応だと、どうしても対応可能な時間が限られ、営業時間外の質問への回答に、時間を要してしまいます。チャットボットでは、お客様を待たせることなく、いつでもリアルタイムで対応が可能です。
三つ目は、顧客満足度の向上です。チャットボットでのやり取りはデータとして残り、後から見返せるためサービス改善に活かせます。データが可視化されることで、属人的になりがちな業務であっても対応品質の底上げが可能です。
マーケティング支援型
「マーケティング支援型」は、主に売上改善の支援をするチャットボットで、主な活用方法を3つ解説します。
一つ目は、Webサイトやランディングページにチャットボットを配置して、コンバージョン率の改善を図る方法です。従来の入力フォームなどから代替することで、顧客との新たな接点を増やします。チャットボットには画像やイラストを配置できるので、訴求力を高める工夫もできるでしょう。
二つ目は、顧客とコミュニケーションを実施し潜在顧客を育成する方法です。チャットボットの利用による会話データを元にして、顧客にマッチする情報やサービスを提供し、顧客との接点を継続的に保てます。
三つ目は、顧客との定期的なコミュニケーションをチャットボットで図り、既存顧客のロイヤリティを向上させる方法です。新商品などの案内を実施してクロスセルやアップセルを行うことで、ライフタイムバリューの向上などの効果が期待できます。
問い合わせ対応型ツール
まず、問い合わせ対応型ツールをご紹介します。
KARAKURI
「KARAKURI」は世界でも高いレベルの言語処理AIを搭載し、幅広い問い合わせに的確に対応できる独自エンジンを備えたAIチャットボットです。FAQの予測精度が高く、学習データを作成するコスト削減が期待できます。
例えば、FAQサイトの自動生成機能も備えており、難しいコードなどの専門的な知識がなくてもチャットボットとFAQサイトの構築が可能です。
また、更新作業などで手間のかかるFAQサイトも、会話データからユーザーの問い合わせ傾向を掴み改善策を検討できるため、面倒な分析作業を行う必要がありません。
出典:KARAKURI
https://karakuri.ai/
OKBIZ. for AI Chatbot
「OKBIZ. for AI Chatbot」は、3,000万件を越すQ&Aデータを活用したサポート業務を行うAIチャットボットです。
学習済みデータや独自AI技術などにより導入工数を最小化しており、回答精度も高いレベルを実現しています。例えば、単語が羅列された質問文でも、AIが自ら関連候補を自動で提案して問いかけることで正しい回答へと導きます。
また、回答についてユーザーからの評価も自動的に整理できるので、運用後の見直し工数の削減も期待できます。
出典:OKBIZ. for AI Chatbot
https://okbiz.jp/solutions/okbiz-ai-chatbot/
AIさくらさん
「AIさくらさん」は、ユーザーからの問い合わせに、テキストに加え音声でも返答できるAIを活用した対話型ソリューションです。
AIさくらさんでは、愛らしいキャラクターを起用していることから、コミュニケーションへのハードルが下がります。そのため、誰でも気軽に利用できる点もあるでしょう。その親しみやすさから、AIさくらさんは社内向けヘルプデスクや商業施設の案内係などWeb上のAI接客に数多く採用されています。
さらに、業務の自動化やサイトの改善提案、受付の自動化、テレワークサポートなどでも数多く導入されており、今後も社内外問わずデジタル化やDXの実現に貢献していくでしょう。
出典:AIさくらさん
https://tifana.ai/
マーケティング支援型ツール
次に、マーケティング支援型ツールをご紹介します。
AI.BiS
「AI.BiS」は、サイトに訪問したユーザーの行動を可視化し、24時間いつでも対応できるBtoBに特化したAIチャットボットです。
サイト訪問者の企業名や企業情報、アクセス地域などを自動取得し、訪問者が顧客になり得るかどうかを判断できます。
さらに、サイトへ訪問するきっかけとなった閲覧経由や滞在時間を取得することで、受注確度の推定も可能です。
それらの見込み顧客へ能動的にアクセスできるAIチャットボットであるため、営業活動を24時間行えます。AI.BiSを利用すれば、問い合わせからのレスポンスをよりスピーディーに、AI型営業として実施できるでしょう。
出典:AI.BiS
https://aibis.info/
hachidori Marketing
「hachidori Marketing」は、初期・月額費用が不要な完全成果報酬型で利用できるチャットボットマーケティングツールです。
現在はWebとLINEに対応しており、離脱防止ポップアップ機能や電話番号だけでLINEに通知が送れ、通知メッセージ機能を組み込んだチャットボットを利用できます。例えば、ユーザーの離脱意思をAIが検知するとポップアップバナーでユーザーを引き留め、LINEのチャットボットに誘導してくれるため、顧客の囲い込みや顧客育成もスムーズです。
また、運用開始後はツールが成果から逆引きしたKPIを測定し、改善策を併せて提案してくれます。
出典:hachidori Marketing
https://marketing.hachidori.io/
Engagebot
「Engagebot」は、FacebookやLINEでマーケティングができるマーケティングオートメーションツールです。日本で普及しているSNSを通じたマーケティングができ、若い世代を中心に企業の認知度を高められます。
直感的な操作ができる点も魅力で、チャットボットの作成からデータ分析まで手軽に行えます。従来のメルマガなどの施策とは異なり、顧客へのアプローチも継続的に行えるため、高いエンゲージメントが生み出せるでしょう。
出典:Engagebot
https://www.engage-bot.asia/
ここでは、7つのおすすめAIチャットボットをご紹介しました。以下の記事でもおすすめのAIチャットボットをご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
本記事では、AIチャットボットの仕組みやメリット・デメリットをご紹介しました。
AIチャットボットは、シナリオチャットボットと比べて、人間に近い自然な会話を楽しむことができます。また、学習を繰り返すことで、より複雑な質問にも対応できるようになるのです。
ただ、すべての対応をAIチャットボットに任せることは難しいこと、効率的に精度を高めるために、定期的なチューニングが必要になることは念頭に置いておきましょう。
また、記事内でご紹介した通り、AIチャットボットを導入するには、ツールを活用することが一般的です。事前に導入目的や設置場所を明確にしておき、自社に最適なツールでAIチャットボットを作成しましょう。
AIチャットボットのQ&A
- AIチャットボットのメリットは?
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複雑な質問にも対応できることです。ルールベース型と異なり、蓄積した学習データによって回答を導くことができるため、ユーザーからの質問の意図を読み取り、高い回答精度を実現できます。
- AIチャットボットがおすすめなケースは?
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問い合わせの内容が多岐に渡る場合や、ユーザーとの自然な会話を実現したい場合はAIチャットボットがおすすめです。ルールベース型に比べて初期導入のコストはかかりますが、長期的な目線でスタッフの負担軽減や業務効率化を実現したい企業に向いています。
- どのように導入する?
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自社開発はコストや人材の面で現実的ではないため、ほとんどの企業でチャットボットツールを利用しています。社内で要件を検討した後、自社に適したチャットボットを選択することが重要です。ツール選定の際は、分析のしやすさやサポート体制など、実際に運用するイメージをもつことが成功への鍵です。