メルマガ配信を行っていると「読者ごとに別々のタイミングで、なおかつ読者に合わせたメールを送ることができれば最高なのに…」そう感じたことはありませんか？
メールに関心の無さそうな人は配信頻度を下げて、興味を持っている人には熱が冷めないようメールも畳み掛ける、そんな配信ができればメールマーケティングを更に効率的に進めることができます。
本記事ではそんな配信を可能にする「シナリオメール」について解説していきます。
シナリオメールとは
シナリオメールとは、ユーザーごとの状況や何らかのアクションに応じて、用意しておいたメールを自動で配信し、別リンク先への移行や販売促進、メルマガへの関心を高めることを目的とするメールマーケティング手法の一つです。
メールの開封の有無で送るメールを変えたり、メール内のどのリンクをクリックしたかで次に送るメールを変えたりと、読者ごとに適切なメールを随時送ることができます。
ステップメールと何が違う？
シナリオメールと混同されやすいメールマーケティング手法の一つに「ステップメール」がありますが、その違いについて解説しておきましょう。
ステップメールは「商品の購入やメルマガ登録など、メール配信の開始時の日付を起点とした自動配信」が特徴的です。
開始時から3日後、1週間後、1ヶ月後といったタイミングで自動的にメールを送るのがステップメールで、登録した全員に対して、同じ内容のメールを必ず送ることができます。
一方シナリオメールは、全ての登録者に同じメールを配信することはありません。配信の起点となるアクションからさらに細かな条件の設定し送るメールを変えていきます。
シナリオメールの特徴
そんなシナリオメールの持つ特徴について更に詳しく解説していきます。
シナリオメールは本格的なメールマーケティングを行いたいのであれば、ぜひとも活用したい手法です。
不快に思われないメール配信が可能
まず大きなメリットとして読者からの印象が悪化しにくい、という点があります。
興味のないメールがたくさん届いたり、読んでもいないのに頻繁にメールを送ってくるネットショップがあると、たとえメールの中身が良くても、徐々にその配信者に対する印象が悪くなってしまいます。
そのような、反応の無い読者にメールを送り続けると、読者に嫌われてしまいメール配信解除や迷惑メール報告に繋がる恐れもあります。
開封がされたかどうかで送る内容や頻度を変えたりできるシナリオメールは、そういった対策もできます。
自動で継続的なメール配信が可能
読者からの印象を悪化させにくいということは、長期的なアプローチができるということです。
また、シナリオメールは事前に設定したメールを自動的に配信するので手動で逐一作業を行わなくて良いという点もメリットです。メール配信業務は地味な作業も多く継続するのが意外に難しいものです。
他の業務が忙しい時でも、シナリオメールは自動配信されるので、継続的なメール配信が容易にできるようになります。
コンバージョン率が高まる
読者の興味関心に沿ったメール配信を行えるのでコンバージョン率の向上が期待できます。
例えば、新商品紹介のメルマガを送って、Aのリンクをクリックした人とBのリンクをクリックした人に送るメールは、当然違う内容にした方が検討していた商品の購入やアップセル、クロスセルに繋がる可能性は高まります。
シナリオメールが向いているシーン
そんなシナリオメールですが、どのような場面だと効果的に使えるのか解説していきます。
メリットばかりを紹介してきたシナリオメールですがこんなデメリットも存在します。
- アクション毎のシナリオ設定作業が複雑
- メール原稿やネタを多くストックする必要がある
- 目的達成に向けある程度順序立てたメール配信の流れを考える必要がある
要するに、コンバージョン増加が見込める一方で「導入までのハードルが高く準備が面倒くさい」という面があるので、明日からすぐに始められるようなものではないということは理解しておきましょう。
ステップメールと組み合わせる
まず始めにおすすめしたいのは、ステップメールと組み合わせて使うという手法です。
ステップメールの持つ全ての読者に一律で同じ内容のメールを送ることができる、という点は長所でもあり短所でもあります。ステップメールは配信の柔軟性が低い手法です。
そんなステップメールもシナリオメールを組み合わせれば、一通目のメールの開封があった場合はAのステップメール、開封されなかったらBのステップメールというように、読者の関心毎に配信するメールを分岐させることができます。
これはあくまで分かりやすい一例ですが、リンククリックやサイトアクセスのデータも活用すれば、更に読者に合わせたシナリオメールの配信が可能です。
高額商品・サービスの販売を行っている
高額商品・サービスともシナリオメールは相性が良いと言われています。不動産や自動車、金融、保険などのジャンルは成約までの検討時間が長いので、長期的な接触ができるステップメールもよく活用されていますが、それに加えてシナリオメールも利用すればより強力な営業ツールになります。
こうした商品やサービスは「良いタイミングで、個人に合わせた提案」を行うことが成約の鍵になります。
メルマガに登録したユーザーが製品サイトの価格ページや特長ページに来訪した際、ページアクセスをトリガーに特定ステップメールを配信するなどで使われます。
メールの中にも、商品に関する資料のダウンロードフォームを埋め込み、資料をダウンロードした読者にだけ翌日別のメールが届くようにしておいたり、また別の施策への案内を送付するといった流れにしておけばより効果的です。
このように、シナリオメールを使えば成約の可能性が高い読者に対して、最適なタイミングでピンポイントに適切な情報を提供することができます。
リピート購入を増やしたい場合
無料トライアルや資料請求からのコンバージョン率向上や、リピート購入増加への施策としてもシナリオメールが有効です。こうした状況は初回のアクションがあった後、一定期間でどのようにゴールに誘導するかを考えやすいからです。
また、ゴールまでの明確な道筋が無く、商品やサービスが複数存在あったり、「売上を増やしたい」というようなぼんやりとした課題しか無い場合には、
- コンバージョンポイントを決める
- ターゲットとなる顧客層を絞る
という点を明確にできるとシナリオメールが作成しやすくなるでしょう。
シナリオメール作成時のポイント
それでは最後に、実際のシナリオをイメージしながら作成時のポイントについて解説します。
サプリメントのサンプル請求者へのシナリオメール
まずは、サプリメントのサンプル請求したお客様へのシナリオメールを例に紹介します。
ターゲットとなるのは「初めてサンプル請求をしたお客様」で「サンプルから本契約を獲得する」「または口コミの獲得」を目的としたシナリオメールをイメージしています。
やはり、どのような層にどのような目的で送るのかを明確にしておくことが良いシナリオメールを作る際に重要です。
こうした問い合わせに対して、細かなフォローができるシナリオメールを作成しておくと、新規獲得の流れを自動化できるので便利です。
営業すべきリードを分類するためのシナリオメール
次に無料の資料請求や見積もり依頼があった後のシナリオメールを例に解説します。こちらは問い合わせ後のフォローとしての役割はもちろんですが、その後優先的に営業すべき検討度の高い読者を見つけるという目的も持っています。
営業効率を上げるためには、興味関心の高い顧客に時間を使い、優先的に営業活動を行うことが大切です。
それぞれのメールで分岐を作ることのできるシナリオメールを使うことで、コンバージョンの確率の高いリードを発見し、その後の営業活動にまで良い影響を与えることができます。
シナリオメールを使うには
メルマガ配信にはメール配信に特化した「メール配信システム」を利用しますが、シナリオメール機能を搭載したシステムは数が少なく、かつ利用金額が高額になる傾向があります。
というのもシナリオメールは、メール配信手法の中では、高度で専門的なシステムを構成する必要があるので「MAツール」や「CRMツール」などのよりマーケティング寄りなシステムの機能として付随していることがほとんどです。
メール配信システムの中では、海外製ですが「ConvertKit」というシステムがシステムメールを無料でも利用することができます。
ConvertKit内ではオートメーション機能と呼ばれていますが、個々の行動に合わせた柔軟なメール配信ができるようになっています。
以下の記事で詳しく解説しているので興味のある方はご参考ください。
関連記事:「ConvertKit（コンバートキット）とは？ 他メール配信システムとの機能や料金、特徴の違いを徹底解説」
まとめ
以上、シナリオメールとはどのようなメールマーケティング手法なのか、実際にはどのような場面で有効で、どのようなポイントを意識して作成すれば良いのかについて解説してきました。
シナリオメールは、導入までのハードルは高いですが読者との関係性の維持や売上向上に非常に効果的なメールマーケティング手法です。より高度な配信を行いたいという方はぜひシナリオメールの活用を検討してみてくださいね。
