ビジネスパーソンにとって、効率的なコミュニケーションは非常に重要です。特にメールのやりとりは日常的に行われるため、効率的なメールの使い方を知ることはビジネスパーソンにとって欠かせません。
そこで今回、注目して紹介していくのは「インライン返信」です。メールのインライン返信とは、相手からのメールに対して、その文面を一部引用して返信を書く方法です。
ビジネスメールでよく使われる手法ですが、その意味や目的、注意点をしっかり理解できている人は意外と多くありません。
この記事では、インライン返信の意味と使い方の基本から、メリットやデメリット、例文やマナーなどを紹介していきます。メールで業務の効率を上げるために、ぜひ参考にしてください。
インラインメールとは?
インラインメールとは、電子メールの一種であり、受信したメールの本文内に直接返信することができる機能です。
従来の返信形式では、元のメールを引用して返信するか、別のメールを作成して返信する必要がありましたが、インラインメールを使用することで、メールの流れをよりスムーズに維持することができます。
インラインメール返信の意味
「インライン」は、相手からの文章を引用し、それに対する回答を書き加えて返信する方法です。
この言葉の語源は、英語の「in(中)」と「line(行・列)」を組み合わせて、「直列の」や「一直線に並んだ」を意味します。
ITの分野では、「インラインコード」などといったプログラミング言語で、関数を直接プログラムコードに埋め込む手法として利用されています。その概念から、メールで引用文を「埋め込む」意味でも「インライン」と表現されるようになりました。
メールでは改行後「<」「<<」「>」「>>」と表記されることが一般的です。
メーラーによっては、他の記号に変更することも可能ですが、相手に誤解を招くリスクもあるので、記号は「<」「>」を使用するようにしましょう。
インラインメールのメリット
インラインメールのメリットは多岐にわたります。まず、相手の質問や疑問に対しては、インラインメールで明確な回答を示すことができます。
仕事上では以下の3点がメリットとして挙げられます。
- 返信内容の明確・簡潔化
- 回答漏れの防止
- 複数人での共有がしやすい
返信内容の明確・簡潔化
相手の質問に対して、「>」を利用すると矢印のように分かりやすく指し示すことができます。そのため、誤解や曖昧さを減らすことができるのです。
さらに、相手の文面と回答を対応させることで、メッセージが読みやすく理解しやすくなります。情報の整理にもつながり、相手が本文を読み取りやすくなるのはもちろんのこと、自身の情報の整理にもつながります。
同時に、メールのやりとりの回数や時間を削減できる点もメリットの1つです。
回答漏れの防止と迅速な返信が可能
質問や回答の見落としや伝達ミスも、インライン返信を利用することで防ぐことができます。引用を通じて対話の流れが途切れることなく、正確な情報を示すことができるからです。
また、インラインメールは、元のメールの本文内に直接返信するため、返信を書く際に別のウィンドウを開く必要がありません。これにより、返信の手間が省けるため、迅速かつ効率的な返信が可能となります。
複数人での共有がしやすい
インラインを使うと、返信の内容が元のメールと関連付けられ、メールの流れがスムーズになります。そのため、複数人の質問や回答であっても共有しやすくなります。
メールのやりとりを他の関係者に伝える際に、誰がどんな質問や回答をしたのかを手軽に把握することができます。
複数人でメールを共有する場合、インラインは効果的なツールのため、ビジネスやプロジェクトの進行が迅速かつ円滑に行えます。
インラインメールの注意点
ただし、インラインメールはデメリットも考慮する必要があります。相手によっては、インライン返信が不適切に感じられる場合があるため注意しましょう。
返信の見落としや遅延がある可能性がある
インラインメールでは、返信が他のメールと同じスレッド内に表示されるため、見落としが発生することがあります。特に引用する文が長文になると、メール全体が見づらくなり見落としの原因となる可能性があります。
また、インライン返信が繰り返されると、長文になるため、メールの件名や本文がわかりづらくなるリスクもあります。この点においても、必要な情報の取捨選択や要約が重要になってきます。
メールの整理が難しい
インラインメールでは、返信がメール本文の中に表示されるため、メールの整理が難しくなる場合があります。
返信を探す際に、本文内をスクロールしなければならないため、返信を見つけるまでの時間がかかることがあります。特に、長いスレッドの場合には、探すのが一層難しくなります。
添付ファイルの管理が煩雑になる
インラインメールでは、返信が本文内に表示されるため、添付ファイルの管理が煩雑になる場合があります。返信メールに添付ファイルが含まれている場合、それを探すのが難しくなってしまいます。
また、返信メールが複数回行われた場合には、添付ファイルが重複してしまう可能性もあるため、ファイルの管理に注意が必要です。
インラインメール返信のマナー
インラインメールで返信する時のマナーを解説します。以下の3つを意識することによって、効率的にインラインメールで返信することができます。
お詫びの一言を添える
インラインでの返信メールの冒頭には、「インラインにて失礼いたします」という一文を添えましょう。
ビジネスメールではよく使われているインラインですが、中にはインラインを使ったメールを不快に感じる方もいるため、冒頭ではお詫びをすることがマナーです。
引用文は簡潔に
相手の文面を引用する際には、「>」や「<」などの記号で適切に囲みます。これにより、引用と回答の対応が明確になり、読み手がメッセージの流れを把握しやすくなります。引用文の間には自分の回答を簡潔にまとめましょう。
また、そのまま相手の文章を引用すると文章全体が長くなり、かえって読みにくく、分かりにくいやり取りになります。
どうしても長文で伝えたいことがある場合は、インラインとは別に、一から本文を作成する方が読みやすく適切なこともあります。必要な情報だけを盛り込み、冗長さを避けることで、分かりやすい文章になります。
誤字・脱字もそのまま引用
相手のメールに誤字脱字があっても、そのまま引用しましょう。
勝手に修正すると、相手の本来の意図が変わってしまう可能性があります。微細な誤りも後に深刻な誤解を招くことがあるため、注意が必要です。
誤字脱字が明らかな場合でも、修正するのではなく、返信で正確な情報を確認するよう努めましょう。お互いに誤解を避け、円滑なコミュニケーションを保つために、慎重に対応することが重要です。
インラインメール返信の例文
件名:お見積もりの件について
株式会社〇〇
〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。
お見積もりの件について、インラインにて失礼いたします。
>>製品の詳細や価格について教えていただけますか?
弊社の製品は、システムの中でも顧客満足度が高い実績を誇っております。 詳細な機能や仕様については、添付の資料をご覧ください。
価格については、登録アドレス数やオプションによって異なりますが、基本プランが月額3,000円からとなっております。お見積もりの詳細については、別途メールにてお送りいたしますので、今しばらくお待ちください。
>>製品の導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
製品の導入には、お申し込みから約1週間程度の期間がかかります。導入後のサポートや研修も充実しておりますので、安心してご利用いただけます。
以上になります。ご不明点やご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
インラインを効果的に利用するには、項目を整理し明確に示すことがポイントです。複数の内容がある場合やまとめると伝わりにくい場合は、インラインを使って整理すると良いです。
これにより、冗長な前置きが不要になり、相手もわかりやすく手間をかけずに返信できます。
インラインメールを活かして、分かりやすい回答メールを心がけましょう。
GmailやOutlookでのインラインのやり方
ここではよく利用されるメーラーのインライン返信のやり方を説明していきます。
Gmailのインライン返信
- Gmail を開き、返信するメールの一部分をコピー
- 返信アイコン “” をクリック
- 返信画面下のツールバーから「A」(書式設定オプション)をクリックし、「“」(引用)をクリック
- 元のメッセージの引用を示す灰色のバーが追加されます
- 灰色のバーの横に、コピーした引用文を貼り付け
- Enter キーを押し改行、返信内容を入力
Outlookのインライン返信
- Outlookを開き、引用したい文を選択しコピー
- 「返信」アイコンをクリック
- 返信画面下のツールバーで、「…」をクリックし、「“」をクリック
- 追加された「|」の右横に、コピーした引用文を貼り付け
- Enter キーを押し改行、返信内容を入力
まとめ
メールでのインライン返信は、相手のメールを引用して回答する手法です。ビジネスメールではよく使われ、質問には明確に答えることができます。
メリットとして、明確な回答やメッセージの整理、複数人への共有のしやすさが挙げられます。
ただし、相手に不快感を与える可能性や引用文の長さによる見づらさ、繰り返しによるメールの複雑化にも気をつける必要があります。
使い方には、相手のメールを注意深く読み、冒頭は丁寧と「インラインにて失礼いたします」という一文を追記して、簡潔にまとめるようにしましょう。
ビジネスにおいても、テキストベースのコミュニケーションだと誤解やミスが生じるリスクがあります。
しかし、インラインメールを活用することによって、相手に分かりやすく、誤解が生まれないコミュニケーションを行うことができますので、ぜひインラインメールを使っていきましょう。