「社内FAQを有効活用できていますか?」使われるFAQを作成するためのヒント

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「社内FAQを有効活用できていますか?」使われるFAQを作成するためのヒント

激化する一方の競争環境や少子高齢化による生産年齢人口の減少、さらには働き方改革による労働時間削減の要請の高まりもあり、多くの企業において社内の労働生産性を向上させることが必須の経営課題になりつつあります。

そこで、人事や総務、サポートといったバックオフィス部門に寄せられる問い合わせを減らして業務を効率化したい、社内にあるナレッジを有効活用したいと考え、「社内FAQ」の導入が進んでいることはご存知の方も多いことでしょう。

ただ、せっかく社内FAQを導入したのに有効活用できず、「自社の生産性が思ったように伸びていかない」という声がよく聞かれることもまた事実です。そこで今回は、社内FAQのメリットや作成時のポイント、さらには導入後の運用方法など、有効活用に向けたヒントを解説していきます。

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目次

社内FAQとは?

FAQとは、「Frequently Asked Questions」の略であり、頻繁に尋ねられる質問のことを指します。「FAQ」、あるいは「よくある質問」として企業のHPやカタログに記載されることが多くなっており、顧客が回答を検索して簡便に疑問点を解消できるツールとして、広く活用されています。

そして、「社内FAQ」とは、社内のあちこちからバックオフィス部門に日々多数寄せられる、「よくある質問」とそれらへの回答をデータベース化することで、社員がいつでも自己解決を図ることができる仕組みのことを指します。

寄せられる質問の典型例としては、経費精算方法や有給休暇の取得方法など手続きに関する問い合わせから、社内WiFiへの接続方法が分からないといったトラブル対応的な問い合わせまでが挙げられます。こうした質問の1つひとつは、対応にそれほど困難さがあるわけではありません。ただ、特定の時期に集中しがちで、また従業員数に比例して問い合わせも増えるため、対応に時間を取られればより優先度の高い業務への対応が遅れてしまうこともあるでしょう。

社内FAQには、こうした弊害を回避する役割が期待されているのです。

FAQはQ&Aとどう違う?

FAQとよく似たワードにはQ&Aがありますが、両者の違いについて分からない方もいるのではないでしょうか。FAQとQ&Aは類似している部分もありますが、以下のような違いがあります。

  • FAQ

    Frequently Asked Questionの略。Q&Aからよくある質問と回答をピックアップして構成したもの。実際に利用者から寄せられた質問と回答をまとめるのが一般的。
  • Q&A

    Question and Answerの略。質問・回答を集めたもので、質問されそうな内容を予測して作成を行う。よくある質問には限らずコンテンツを構成するため、網羅性が高いのが特徴。

Q&Aをより実用的とするために、質問と回答を取捨選択したものがFAQと言えます。つまり、社内FAQを作成するためには、まずは社内Q&Aを集めることが必要となります。

社外向け対応の支援に役立てるケースも

社内FAQは、社内で生じた問題・疑問を解決するだけでなく、社外向けのヘルプデスクやコールセンターの支援に役立てることもできます。

社内FAQに顧客対応に必要なナレッジ・ノウハウを蓄積して対応メンバーで共有することで、次のようなさまざまなメリットを得ることができます。

  1. 対応品質の向上
  2. 対応品質の標準化
  3. 教育コストやリソースの削減
  4. コミュニケーションコスト削減

顧客対応に伴うメンバーの業務負担・精神的負担も軽減されるため、離職率低下やスタッフの定着にも大きく寄与します。

社内FAQを導入するメリット

社内FAQを導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、3つの視点から考えます。

担当者の負担軽減

バックオフィス部門の担当者は、自身のコア業務を抱える中で社内問い合わせ対応を兼任しているケースが珍しくありません。そのため、月末の締め日や新卒の採用選考が本格化する時期など、コア業務がピークを迎える頃に多数の同種同様の問い合わせへの対応を余儀なくされると、本業が圧迫されること必至です。業務の滞りはもちろん、横槍仕事により生じたストレスがさらに業務効率の低下を招くという悪循環に陥る危険性が高まるでしょう。

社内FAQの導入により、バックオフィス部門に寄せられる質問の内の少なくない割合を占めるといわれる単純で簡単な案件については、質問者たる社員に自己解決を促すことができます。

こうして担当者の負担を軽減すると同時に、これまでコア業務に傾注したい時期に、機械的ともいえる単純な対応の繰り返しに忙殺されてきたストレスから担当者を解放することも期待できるでしょう。

問題解決スピードが向上

社内FAQを整備すれば、問題解決のスピードが向上することも大きなメリットです。

有人の問い合わせ対応部署は基本的に営業時間内しか対応を行っていないため、時間外・休日には回答を得ることができません。また、混雑していれば待たされるケースも多くあります。

対して社内FAQであれば時間・場所に関わらず自身で回答を探し出して問題を解決することが可能となります。混雑状況に左右されることもありません。

社員は問題や疑問が生じた際に即座に自己解決することが可能となるため、社内全体の業務効率・生産性向上も実現することができます。

業務効率化

社内FAQを導入すれば、質問者と回答者双方の業務効率が向上することも大きなメリットです。

例えば特定の時期に同種同様の問い合わせが殺到すると、担当者の処理能力のキャパオーバーを招き、回答が遅れるケースが増えていくことは容易に想像できます。回答が遅延すれば質問者の業務も滞り、業務が重要度・優先度の高いものであればあるほど企業にとってビジネスチャンス喪失のリスクも高くなるでしょう。

社内FAQを導入しておけば、質問者はいつでも速やかに質問の解決を図ることが可能となり、自身の業務をスムーズに遂行することができます。質問に対応する部署の担当者も有人でなければ対応できない重要な質問のみに集中することが可能となり、他の業務に注力するリソースを確保することが可能となります。

社内問い合わせ対応が理由で業務効率が低下を招いている企業ほど、社内FAQの導入により効率化を図るメリットは大きいでしょう。

教育コストの削減

社内FAQで業務に必要なナレッジやノウハウを整備しておけば、人材教育に要する労力やコスト削減に繋げることができるのもメリットです。

従来の企業で行われていた教育は、口頭でのやり取りやマニュアルの参照といった方法で業務手順やスキルの伝授が行われてきました。しかし、このような従来型の方法では、人材育成に従事する社員の時間やリソースが奪われたり、マニュアルの整備~配布~管理に時間と手間がかかったりといった弊害が伴います。

オンライン上でスムーズに情報を公開できる社内FAQであれば、新人はいつでも気兼ねなく情報を得て自己学習を行ったり、問題・疑問が発生した際には自己解決を行うことが可能です。教育担当者の時間と労力も軽減されて新人の早期戦力化が可能となるため、人材教育に要するコストを大幅に削減することができます。

ナレッジの蓄積で属人化を防止

問い合わせがあった内容や優秀な社員持つ優れた知恵やスキルをナレッジ化し、社内FAQに蓄積していくことで、社員の誰もがいつでも必要とするときに「使える情報」にアクセスして活用することが可能になります。結果として、問い合わせの数を減らすことができるでしょう。

また、ナレッジを蓄積・共有することで、特定の社員に集中せざるを得なかった業務の属人化を乗り越えることができます。その社員が休みのときや離職した場合に、他の社員が業務品質落とすことなく代わりを務めたり、引き継いだりしていくことができるようになるのです。

人材の流動化が激しい昨今、社員の育成期間の短縮は全ての企業にとって死活の問題といえます。しかし、ナレッジの蓄積と活用により、新入社員のいち早い戦力化や伸び悩んでいた中堅社員の成長が期待できるので、全メンバーの能力が平準化された競争力の高い組織への脱皮を図ることが期待できるのです。

バックオフィスが不在の場合もサポート可能に

社内FAQは、インターネット環境さえあれば時間・場所によらず知りたいことを参照できるため、バックオフィスの営業時間外・不在時にもサポートを提供できることが大きなメリットです。

交替勤務・休日出勤・夜間時間帯の業務・イレギュラー出勤など、ビジネスを行っているとバックオフィスの対応時間外に問い合わせニーズが発生することは意外と多くあります。業界・業種・業態によっては慢性的にこのような状況下となるケースもあるでしょう。

社内FAQを整備しておけば、問題・疑問を抱えたユーザーはバックオフィスに頼ることなくいつでも自己解決できるため、業務の停滞や時間のロスを回避することができます。

テレワーク時にも活躍

近年では新型コロナウイルス感染拡大の影響により、テレワーク環境下で業務を行っている企業も多くあります。テレワーク環境下ではオフィスワークのように、気軽に周囲の先輩や同僚に質問をすることができないため、問題・疑問が解決できないケースが発生しやすくなります。

このような環境下でこそ、社内FAQが有用性・効果性を発揮します。社内で生じる問い合わせが網羅されている社内FAQを活用することで、スタッフは問題・疑問を自己解決することが可能となり、誰に何を質問すれば良いか分からないといったケースが生じるのを防ぐことができます。

特に、社内事情に詳しくない新入社員や中途採用社員が多い企業にとっては、テレワーク時の社内FAQ活用は大きな効力を発揮してくれるでしょう。

社内FAQの作成ステップ

ではここで、社内FAQの作成手順を具体的にご紹介します。手順は大きく分けて、KPIの設定・FAQリストの作成・FAQシステムの選定・社内への周知啓蒙・運用データの分析の5段階です。

では、それぞれのステップ毎に確認してみましょう。

KPIを設定する

まずは、KPIを設定するところからはじめましょう。KPIを設定することで、目標が可視化されて取り組むべきことが明確になります。「いつまでに、〇〇を達成する」という共通認識があることで、効率的な行動ができるようになるでしょう。

具体例をあげると、「1週間当たりの問い合わせ件数を、〇%減らしたい」などが考えられます。社内FAQは直接に売り上げなどの実績につながるものではないため、数値目標の設定は難しいかもしれません。

しかし、KPIを設定することによって、実際に運用するなかでどれだけの効果を上げることができたのか、もし目標に届かない場合は、あとどれだけ改善すれば良いのかを定量的に認識することができます。作成と運用・改善のモチベーションを維持する効果もあるので、KPIの設定は欠かさないようにしましょう。

FAQリストを作成する

次に、実際にFAQとして載せたい候補内容をリストアップします。つまり、現実にどのような課題があって、それに対してどのようか回答が最適なのかを、具体的に言語化してみるということです。

なお、言語化する際には、可能な限り分かりやすい表現と構成にするよう努めましょう。

社内ヘルプデスク担当の方自身は、内容を熟知していることがほとんどでしょう。そのため、知らず知らずのうちに、「この程度の内容は、明記しなくても知っているだろう」と内容を省いてしまうケースも少なくありません。社内FAQにアクセスしてくる社員は、その分野に通じているとは限りらないのです。どの社員にも伝わりやすいような平易な表現・内容でまとめるようにしましょう。

また、FAQコンテンツは、どのようにカテゴライズするのか、どのカテゴリーにどのくらいのボリュームで内容を盛り込むのかなど、形式的・数量的なことも事前に計画するとさらに良いでしょう。実際に運用する際に利便性を大きく左右するため、事前に考慮しておくとスムーズです。

過去の社内問い合わせを参考にする

アイディアを洗い出す際には、過去にあった社内問い合わせをヒントにしてみるのがおすすめです。これまで受け付けた社内の問い合わせに関する記憶やメモを元に、重要項目のリストに追加してみましょう。今後の業務負担を軽くするために、より多くの事例を集めることがおすすめです。

アンケートをとる

また、社員の方や社内ヘルプデスクにアンケートを取ってみるのも一つの方法です。アンケートでどのような内容の問い合わせが多いのかを調べておくと、社内FAQ作りに大いに役立つでしょう。

FAQシステムを決める

社内FAQを構築するためには、FAQ向けに開発されたシステム・ツールを活用することが一般的です。色々な種類がある社内FAQシステム・ツールの選定については、FAQコンテンツの作成や更新のしやすさ、検索性のしやすさなどを重視するのがおすすめです。

使用するシステム・ツールが決定したら、FAQコンテンツを運用する中で更新や改善をする際のワークフローを定めます。FAQコンテンツの新規登録・追加・修正・更新・削除などを、どのようなフローで実行していくのかをきちんと定めておきましょう。システムの準備と運用ルールが決まったら、先ほどリストアップしたFAQリストに沿って入力しましょう。

社内への周知やルール設計

社内FAQを作成しても、肝心の社員がその存在を認知していなければ利用率も上がりません。そのため、社内FAQ作成後は積極的に周知を行い、その存在と有用性・利便性を社内に広げていくことが重要です。

単に周知を行うだけではなく、部署や部門のリーダーなどが積極的にFAQを活用するなど、利用を促進する雰囲気を作っていくといった工夫を行うことも大切です。

また、人の行動・習慣は簡単には変わらないため、社内FAQを認知しただけでは利用率を高めることができない点にも留意しておく必要があります。

導入後も社内ヘルプデスクに問い合わせが殺到しては意味がないため、「問い合わせ前には社内FAQを参照する」「社内FAQで解決できない問い合わせのみ受け付ける」といったルールを設けて社内に浸透させることも重要です。

運用体制を構築する

社内FAQ作成の最終ステップは、運用体制の構築です。社内FAQは一度作成して終わりではなく、社内の情報の変化やビジネスの進捗に合わせて継続的な改善を繰り返しながら運用していく必要があります。

社内FAQの運用体制は、次のように具体的に構築しておくことがポイントです。

  • 経営者・役員等

    決済権を持つFAQの利用推奨者
  • ナレッジオフィサー

    社内FAQ運用メンバーの統括
  • ナレッジエンジニア

    FAQの作成・追加・更新・改善
  • 広報担当者

    社内FAQの社内周知

いくら優秀なFAQを作成しても、運用体制の詰めが甘ければ利用率も上がらず情報も陳腐化してしまうため、運用体制についても詳細に検討しておきましょう。

運用データを分析する

最後のステップは分析です。実際に社内FAQの運用データをツールなどで解析し、必要であれば内容の変更や追加などを行ってください。なお、分析は期間を定めて定期的に実行し、PDCAサイクルをしっかり回していきましょう。

ちなみに、分析を行う際にはいくつか押さえておきたい指標があります。一つ目は検索結果のヒット件数です。例えば、特定のキーワードで検索したとしても回答がヒットせず、検索結果が見当たらない場合があります。そのため、まずは起こり得るトラブルに対して網羅的にFAQを作成することが大切です。

また、場合によってはFAQを作成したにも関わらず、特定キーワードで検索に引っかからない場合もあります。使用する検索ウィジェットの仕様にもよりますが、ラベルやタグでキーワードを設定するなど対策をしておきましょう。その他にも、FAQ閲覧後の解決率やクリックスルー率を計測するのも効果的です。

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社内FAQはどんなツールで提供できる?

社内FAQの提供は、ITツールを活用して行われるのが一般的となっています。どのようなツールが活用されているのかを解説します。

FAQ作成ツール

FAQ作成ツールとは、FAQ作成機能・解析機能・検索機能等が搭載されたFAQ作成のための専用ツールです。プログラミング等の専門知識を必要とせず、便利で使いやすい社内FAQをスムーズに作成することができます。

また、解析機能を活用することで、FAQの利用データの収集・分析を行うことができるため、データを基にPDCAを繰り返してFAQの精度を高めていくことも可能です。

社内FAQを初めて作成する方や効率的に作成したい方は、自力で作成するよりもFAQ作成ツールを活用することをおすすめします。

チャットボットツール

ロボットが対話形式でユーザーの課題解決をサポートするチャットボットは、社内FAQでも有用性・効果性を発揮することができます。

ユーザーはチャットボットと対話を行うだけで、回答を検索したりといった手間を省いてスムーズに回答に辿り着けることがメリットです。回答精度が良ければ1・2回の質問に答えるだけで回答を得られるケースもあります。

チャットボットで社内FAQを作成・運用する場合には、一度FAQを作成して終わりではなく、運用データを基に継続的な改善を重ねてFAQと質問の精度を高めていくことがポイントとなります。

エクセル・スプレッドシート

社内FAQは、質問と回答を作成して一覧にまとめておけば最低限機能させることができるため、Excelやスプレッドシートで作成することも可能です。むしろ質問と回答をツールに入力するだけであるため、作成方法で躓くことがないというメリットもあります。

ただし、FAQ作成ツール・チャットボットのように、社内FAQの利用データを収集・分析して改善に活かしたり、検索機能や対話機能により解決をアシストしたりといったことはできず、あくまでも簡易的なFAQしか作成できない点がデメリットです。

社内FAQは改善を重ねて精度を向上させたり、ユーザーの利用率を高めたりすることが重要となるため、長期的視点で考えるとFAQ作成ツールやチャットボットを導入した方が良いでしょう。

社内FAQの作成ステップ

ここでは、実際に社内FAQを作成するステップについてご紹介します。主な作成のステップは以下の通りとなります。

  1. FAQリストの作成
  2. 回答の作成
  3. 関係各所への確認

各ステップの概要について解説していきます。

頻度の高い問い合わせをリストアップする

まずは、頻度の高い問い合わせをピックアップして、FAQに掲載したい候補をリストアップします。つまり、現実にどのような課題があって、それに対してどのような回答が最適なのかを、具体的に言語化してみるということです。

なお、言語化する際には可能な限り分かりやすい表現と構成にするよう努めましょう。

社内ヘルプデスクの担当者自身は、内容を熟知していることがほとんどでしょう。そのため知らず知らずのうちに「この程度の内容は、明記しなくても知っているだろう」と内容を省いてしまうケースも少なくありません。社内FAQにアクセスしてくる社員は、その分野に通じているとは限らないのです。どの社員にも伝わりやすいような平易な表現・内容でまとめるようにしましょう。

また、FAQコンテンツは、どのようにカテゴライズするのか、どのカテゴリーにどのくらいのボリュームで内容を盛り込むのかなど、形式的・数量的なことも事前に計画するとさらに良いでしょう。実際に運用する際に利便性を大きく左右するため、事前に考慮しておくとスムーズです。

回答を作成する

FAQは質問と回答がセットになったコンテンツであるため、上記でリストアップした各質問に対して回答の作成を行っていきます。全ての質問に対して回答を作成するのは多大な時間と労力が必要となるため、まずは頻度や重要度の高い質問から優先的に回答の作成を行い、FAQコンテンツを充足していくことがポイントとなります。

回答の作成を行う際には、FAQを参照するメンバー誰もが理解できる簡潔で分かりやすい表現で作成することや、必要に応じて表・画像・動画等も用いることが、質の高い回答を作成するコツです。レイアウトやトンマナなど、表現技法についても統一感を持たせておくと、見やすさや分かりやすさが向上するため尚良いでしょう。

関係各所に確認してもらう

質問と回答がセットになったFAQコンテンツがある程度完成したら、リリース前に情報の信頼性や整合性について必ずチェックを行っておくことが重要です。社内各部署や関係各所に協力を仰ぎ、FAQコンテンツが実際の問題や課題の解決に役立つかどうか、また記載されている内容に問題はないかをチェックしてもらいましょう。

チェックを経てFAQコンテンツをリリースしても問題が無いと判断したら、公開に踏み切ります。

社内FAQ立ち上げを成功させるためのポイント

社内FAQを運用すれば、業務効率化や負荷軽減などさまざまなメリットを得ることができますが、残念ながら立ち上げに失敗して成果を得られないケースもあります。そのため、社内FAQの運用を行うのであれば、事前に成功のためのポイントを押さえておくことが重要です。

KPIを設定する

社内FAQの立ち上げを成功させたいのであれば、まずはKPIを設定するところからはじめましょう。KPIを設定することで、目標が可視化されて取り組むべきことが明確になるため、漠然と導入を行って成果があがらないという状況を回避することができます。具体例をあげると、「1週間当たりの問い合わせ件数を、〇%減らしたい」といったイメージです。

社内FAQは直接売上などの実績に繋がるものではないため、数値目標の設定は難しいケースもあります。ただ、できるだけ具体的な数値を用いてゴールを設定することで、目標までの進捗を定量的に計測することが可能となり、現状とのギャップを埋めるための具体的な道筋が見えてきます。また、社内FAQ立ち上げのモチベーションを高める効果もあります。

KPI設定の有無で社内FAQ立ち上げの効率や成功確度は大きく異なってくるため、必ず設定を行うようにしましょう。

スモールスタートで開始する

社内FAQは、コンテンツの追加や既存コンテンツの改善を繰り返しながら、徐々に育てていくものであるため、最初から完璧を目指さないことがコツとなります。完璧を目指しても終わりはありませんし、完璧主義に囚われると逆にFAQの立ち上げがスムーズに進まなくなってしまうためです。

そこでポイントとなるのが、まずはスモールスタートでFAQの立ち上げを行い、反響を確認しながら徐々にコンテンツの追加や改善を行っていく方法です。どのみち完璧なものを作ることができない事実を認識しておき、コツコツを歩を進めることが立ち上げを成功させる近道となります。

自社に合ったFAQシステムを選定する

社内FAQを構築するためには、効率性や利便性の観点から、FAQ向けに開発されたシステムを活用することが一般的です。

社内FAQシステムは機能や特性が異なるさまざまな製品がリリースされているため、自社が求める要件の洗い出しを行い、要件を満たせる製品を選ぶことが重要となります。導入要件を踏まえたうえで、FAQコンテンツの作成や更新のしやすさ、検索性のしやすさといった操作性や使用感などもチェックしておくのがおすすめです。

社内への周知やルール設計

社内FAQを作成しても、肝心の社員がその存在を認知していなければ利用率も上がりません。そのため、社内FAQ作成後は積極的に周知を行い、その存在と有用性・利便性を社内に広げていくことが重要です。

単に周知を行うだけではなく、部署や部門のリーダーなどが積極的にFAQを活用するなど、利用を促進する雰囲気を作っていくといった工夫を行うことも大切です。

また、人の行動・習慣は簡単には変わらないため、社内FAQを認知しただけでは利用率を高めることができない点にも留意しておく必要があります。

導入後も社内ヘルプデスクに問い合わせが殺到しては意味がないため、「問い合わせ前には社内FAQを参照する」「社内FAQで解決できない問い合わせのみ受け付ける」といったルールを設けて社内に浸透させることも重要です。

運用と更新の体制を構築する

社内FAQ作成の最終ステップは、運用と更新の体制構築です。社内FAQは一度作成して終わりではなく、利用状況やビジネス環境の変化に合わせ、常に改善を施してブラッシュアップを重ね、利用率や解決率を高めていくことが重要です。

スムーズに社内FAQの運用と更新を行うため、次のように具体的に体制構築を行っておくことがポイントとなります。

  • 経営者・役員等

    決済権を持つFAQの利用推奨者
  • ナレッジオフィサー

    社内FAQ運用メンバーの統括
  • ナレッジエンジニア

    FAQの作成・追加・更新・改善
  • 広報担当者

    社内FAQの社内周知

いくら優秀なFAQを作成しても、運用体制の詰めが甘ければ利用率も上がらず情報も陳腐化してしまい、いずれ利用されなくなります。

苦労して立ち上げた社内FAQでパフォーマンスを発揮し続けるためにも、運用と更新の体制については詳細に検討しておきましょう。

運用データを分析する

最後のステップは分析です。実際に社内FAQの運用データをツールなどで解析し、必要であれば内容の変更や追加などを行ってください。なお、分析は期間を定めて定期的に実行し、PDCAサイクルをしっかり回していきましょう。

ちなみに、分析を行う際にはいくつか押さえておきたい指標があります。一つ目は検索結果のヒット件数です。例えば、特定のキーワードで検索したとしても回答がヒットせず、検索結果が見当たらない場合があります。そのため、まずは起こり得るトラブルに対して網羅的にFAQを作成することが大切です。

また、場合によってはFAQを作成したにも関わらず、特定キーワードで検索に引っかからない場合もあります。使用する検索ウィジェットの仕様にもよりますが、ラベルやタグでキーワードを設定するなど対策をしておきましょう。その他にも、FAQ閲覧後の解決率やクリックスルー率を計測するのも効果的です。

使いやすい社内FAQを作るポイント

社内FAQを導入すれば、多くのメリットの享受が期待できます。

ただ、現実には社内FAQを導入してはいるものの、なかなか使われていない、効果的に活用できていないという企業も少なくないことでしょう。そこで、ここでは社員によく使われる社内FAQを作成するためのポイントをご紹介します。

情報を網羅する

社内FAQの作成にあたっては、まず情報を網羅することに努めましょう。せっかくFAQを確認しても、情報量が少なくて問題解決につながらないとなれば、社員はFAQを活用する意欲を失います。結局、求めている情報を得るために問い合わせを行うことになるでしょうから、二度手間になり非効率的といわざるを得ません。

「これくらいのことは当然知っているだろう」「同内容が別のページで触れられているから」とかいう理由で省略するのではなく、その業務の知識がほぼゼロの人間が利用してくることを前提に、丁寧に情報を盛り込んでいくことが大切です。

また、社内FAQの効果的な運用の観点からは、アクセスしてきた社員の問題解決案件を増やしていくことでFAQに対する信頼度を高め、積極的活用のモチベーションを上げていく必要があります。刻々と変化するビジネス環境においては、求められる情報もまた変わっていきます。

加えて、社内でFAQ活用が浸透していけば社員の能力も上がり、情報の質・量に対する要求度も高くなっていくことでしょう。社員のFAQ活用に関する満足度を維持・向上させるために、情報量を増やし、かつ内容のブラッシュアップを図るといった絶えざるアップデートは必須なのです。

“使いやすさ”を重視する

社内FAQでは、盛り込む情報の質や量といった内容だけでなく、いかに必要な情報に素早く、かつストレスなくアクセスできるかという「使いやすさ」の追求も大切になってきます。目指すFAQが見つけづらい、あるいは辿り着けたものの見にくいシステムでは、社員が「直接問い合わせた方が早い」と感じて使われなくなってしまうのは、FAQの役割を果たしているとはいえません。

まずはできるだけ多くの社員からの活用を促すための導線設計に力を入れましょう。社内FAQの専用ページを設けることはもちろん、社内ポータルサイトのトップページにFAQの入口を設置してスムーズな誘導とアクセスに対するハードルを下げることを心掛けます。

続いて、FAQの操作性や検索性にもこだわりましょう。いくら情報の網羅性が高くても、キーワード検索の精度が低かったり、フォルダ階層が複雑だったりすると、必要な情報を見つけ出すまでに時間が掛かってしまい、業務の効率化が果たせません。

たとえば、寄せられる質問の中でも特に訊かれることが多い質問をリストアップできる仕組みにしたり、検索頻度が高いキーワードに対してふさわしい回答が優先して表示されるように調整したりといった工夫次第で使い勝手は大幅に改善されるでしょう。

解決できなかった場合を考える

それでも、社内FAQですべての問題を解決できるとは限りません。そのため、もし解決できなかったときのために、有人の社内ヘルプデスクにつながる内線番号やアドレスを表示させることも大切です。せっかく社内FAQまでアクセスしてくれたのに、疑問点が解決されないまま行き場がなくなってしまっては業務に支障が出てしまいます。

あくまで目的は業務効率化なので、抜け漏れなくスムーズに問題解決できる仕組みを整えておくことが重要です。特に社内FAQの運用初期は、解決できないケースも多く出てくることが予想されるため、解決できなかった場合の代替手段をしっかり周知しておきましょう。

社内事情に変更があるときはFAQを見直す

春など部署移動が増加する時期や、年末調整の時期、あるいは会社に新しいシステムを導入する時期などにも注意が必要です。なぜなら、社内状況に何かしらの変化があるときには、関連して問い合わせが多くなることが予想されるからです。

また、社内の取り決めやシステムが変わることによって、トラブル時の対応が変わる可能性もあります。そのため、社内FAQは定期的に見直して整備し、しっかりと対応できるものになっているか十分に確認しておきましょう。

同時にコンテンツがいつアクセスしても常に最新の情報にアップデートされていると、社員への信頼感にもつながります。信頼感が生まれるとさらに利用者も増え、より良い循環が生まれるはずです。

自社でのFAQ構築・運用が難しい場合はアウトソーシングも

FAQの構築・運用には多くのリソースが必要となり、有用性・効果性を求める場合は専門知識や経験も必要となってきます。自社でFAQの作成・更新を内製しているけれども、不慣れな作業を負担に感じている方や、思うような成果に繋げられないという方もいるでしょう。

このような場合は、外部の専門家や企業にアウトソースを行う方法もおすすめです。苦手な作業や負担に感じている作業に関しては、上手く外部の力を借りることで、FAQの作成・更新・運用をスムーズに行うことができます。

自社で抱えていた課題も経験豊富な専門家であれば簡単に解決できるケースも少なくないため、必要に応じてアウトソースも検討してみましょう。

社内FAQは「チャットボット」とあわせて活用すべき?

社内FAQは、多くのメリットがありながら効果的な活用が進んでいないのが現状です。

ただし、打開策がないわけではありません。その1つが「チャットボット」との協働です。ここでは、その可能性を見ていきましょう。

チャットボットとは?

「チャットボット」とは、会話を意味する「チャット」とロボットを略した「ボット」を組み合わせた言葉で、チャットを通して問い合わせに自動で応答するプログラムのことを指します。すでに1960年代には生まれていたとされるチャットボットは、その後のインターネットの発達に伴ってチャットがコミュニケーションツールとして普及していく中で進化を遂げ、今では人手不足の解消や業務の効率化に資するものとして、多くの業界で活用されるようになっています。

チャットボットを活用することで、簡単な質問に関しては、社員に自己解決を促すことができるようになります。そのため、社内ヘルプデスクに寄せられる問い合わせ件数の削減が期待できるのです。

したがって、担当者はより複雑な対応を要する案件にのみ傾注することができるようになるので、対応業務の負担を軽減できるだけでなく、人員削減によるコストダウンの恩恵も得られるでしょう。

尋ねる側の社員にしても、チャットボットを活用することにより、いつでも気軽に知りたいことを問い合わせることができると分かれば、ストレスなく担当業務に集中できます。

社内FAQ×チャットボットで期待できること

チャットボットを今ある社内FAQと掛け合わせることで、どのような効果が期待できるのでしょうか。

もちろん、ごくごく簡単な質問であればチャットボット対応のみで事足りることもあるでしょう。しかし、問い合わせの内容によりさらに詳しい説明が必要だったり、画像やグラフなどがついていた方が分かりやすかったりする場合も少なくないはずです。そうであれば、情報の網羅性が高い社内FAQを活用しない手はありません。

そこで、チャットボットを社内FAQに導くための案内役として活用することをおすすめします。目につきやすく、また検索性に優れるチャットボットは、これまで必要な情報がどこにあるのかが分かりにくいために、利用が進んでこなかった社内FAQの弱点を補う役割を果たすことができます。まずチャットボットに入り該当する社内FAQページに辿り着かせることはもちろん、1度社内FAQの活用に挫折した利用者への再利用を促す効果も期待できるでしょう。

こうして社内FAQの活用により問い合わせの自己解決の度合いが高まれば、バックオフィスの負担軽減が実現するだけでなく、社内FAQをさらにより精度の高いものにしていくためのアイデアもその分だけ集められることになります。

利用者にしても、チャットにより匿名で気軽に問い合わせることで社内FAQにある必要な情報が得られるようになれば、問い合わせへの心理的ハードルが下がり、心置きなく疑問を解消できるでしょう。

このように、社内FAQ×チャットボットで、社内の問い合わせにまつわる業務全般の質の向上と効率化が実現します。

FAQサイトと組み合わせて使いたい「メール配信システム」

FAQサイトはチャットボットの他に、メール配信システムとの相性も良いです。

なぜならFAQを確認するユーザーは自社のサービスに興味がある可能性が高いからです。このようなユーザーに対してメルマガを配信するなど、定期的な接触を実施することで見込み顧客に引き上げることができます

メール配信システムとは

大量のメールアドレス宛に一斉にメールを配信できるシステムのことです。

メールの大量配信は一般的にスパムメールに似た行為のため、迷惑メールフォルダに入ってしまったり、文字通りメールが届かない可能性があります。

メール配信システムにはこれらを回避するための技術が使われており、安心安全に大量のメールを届けることができます。その特性から、メルマガ配信や社内向けの一斉メール等に活用されています。

FAQサイトとメール配信システムを組み合わせる効果

ユーザーがFAQサイトで問題を解決できることは素晴らしいです。しかし、そこでユーザーとの関係性が完結してしまうという事実も存在します。

問い合わせフォームの設置や資料ダウンロードにあえて誘導することで、ユーザーのメールアドレスを取得し、そのメールアドレス宛にメルマガ配信をすればユーザーと定期的なコミュニケーションを図ることができます。

セミナー情報やお得情報などを発信し、信頼関係を築くことができれば将来的にユーザーはあなたのサービスを購入してくれるかもしれません。

このようにFAQサイトとメール配信システムを組み合わせることで、効果的な販促活動ができるのです。

シェア1位のメール配信システム「ブラストメール」の活用

ブラストメールのアイキャッチ画像

FAQサイトと組み合わせて使うのに最適なメール配信システムはブラストメールですブラストメールは14年連続顧客導入シェア1位のメール配信システムとなります。

ブラストメールの特徴は、シンプルな操作性と、コストパフォーマンスの高さです。様々な業種や官公庁の導入もあり、定番のメール配信システムと言えるでしょう。

セグメント(ターゲット)配信や効果測定、HTMLメールエディタなど、基本的な機能は全て揃っており、最も安いプランであれば月額4,000円以下で導入できます。

シンプルかつ安いので、初めてメール配信システムを使ってみたい方にもおすすめです。無料トライアルも可能となっているので、まずは試してみてはいかがでしょうか。

関連記事:【3分で分かる!】ブラストメールとは?ブラストメールのトライアル期間を使って徹底レビュー

まとめ

この記事では、社内FAQを有効活用するにはどうしたらよいのかを解説してきました。

自社のさまざまある業務を効率化して労働生産性を向上させるためには、社内の問い合わせ業務の効率化が欠かせません。そのためには、必要な情報が抜け漏れなく盛り込まれ、かつ社員の誰もが使いやすい社内FAQの作成を心掛けることが大切です。そして、チャットボットを組み合わせることで、さらに確度の高い社内問い合わせの仕組みを構築することが可能になるでしょう。

社内FAQの活用に課題を感じている企業は、ぜひチャットボットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

Email Rising編集部です。Email Risingではメール配信システムやメールマーケティングについてのお役立ち情報を発信しています

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