メール配信システムの仕組みはどうなっている?高速配信を実現する技術と様々な独自機能を解説

同報配信やメルマガなど大量の一斉配信を行うのに利用される「メール配信システム」ですが、「Gmailとかで送るのと何が違うの?」と思っている人は少なくないでしょう。

そこで本記事では、メール配信システムの仕組みや独自機能についてくわしく解説します。メール配信システムの仕組みを知れば、なぜ大量配信を処理するのにメール配信システムが必要なのかが理解できるでしょう。

それでは、メール配信システムの仕組み・機能について解説します。

目次

メール配信システムとは?

メール配信システムとは、大量の一斉配信を高速で処理したり、顧客リストの管理やHTMLメール作成といったメール配信作業を効率化する機能を備えるシステムです。

また、より高機能なシステムではセグメント配信や効果測定といった、メールマーケティングを支援する機能も備えます。

GmailやOutlookといったメーラーとメール配信システムの大きな差は、やはり一斉配信の処理性能にあります。

一度に1,000通を超えるような大量配信をメーラーで行うと、長くて1時間もの遅延が起きるほか、メールサービスのフィルタリングでスパム判定されて届かない場合があります。

一方、メール配信システムならIPの分散やMTAといった仕組み・技術のおかげでスパム判定を受けづらく、なおかつ時間どおりメールが届くのです。

メール配信システムの種類

メール配信システムは大まかに分けると「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。

  • クラウド型とは?
    インターネットを介してメール配信システムを利用するサービス形態
  • オンプレミス型とは?
    メール配信システムを自社のサーバーにインストールして利用するサービス形態

現在の主流はクラウド型のメール配信システムです。なぜなら、インターネット回線さえあれば利用できる、配信規模が変わってもプラン変更で対応可能など、クラウド型は利便性の面で圧倒的にオンプレミス型を上回るためです。

そのため、特にこだわりがなければ、メール配信システムの選定時はクラウド型を中心に検討を進めましょう。クラウド型の方がオンプレミス型より費用も抑えやすく、早ければ契約即日でシステムを利用可能です。

ただし、オンプレミス型のメリットが無いわけでもありません。顧客情報を外部ネットワークから切り離して管理できる、自由にカスタマイズして運用できるなど、独自のメリットがオンプレミス型には存在します。

コンプライアンス上セキュリティ要件が厳しい、内製システムと柔軟に連携させたいなど、特殊な事情がある場合はオンプレミス型を検討する価値はあるでしょう。

メール配信システムの仕組み・機能

ここからは、メール配信システムの仕組みや機能について詳しく解説していきます。

  • 「MTA(メール転送エージェント)」により大量のメール配信を高速で処理する
  • 複数IPからの分散配信により高い到達率を維持する
  • 「StartTLS」を利用してセキュアなメール配信を行う
  • メール配信における様々なデータを収集・解析する

「MTA(メール転送エージェント)」により大量のメール配信を高速で処理する

メール配信システムで大量配信が効率よく処理される秘密は、「MTA(メール転送エージェント)」と呼ばれる技術にあります。

MTAとは?
「Mail Transfer Agent」の略で、配信が実行されたメールの宛先(ドメイン名)を読み取り、転送するプログラムのこと

メールサービスの種類はGmailやOutlookといったフリーメールから、docomoやauなどのキャリアメールなど様々です。また、各サービスがそれぞれ独自の基準で大量配信を受信制限しています。

そうした制限に引っかからないよう、サービスに合わせてメール配信を適切に処理するための仕組みがMTAというわけです。

メール配信システムはMTAのおかげで一度に何万通もの大量配信を、到達率を下げずに処理できます。たとえば定番のメール配信システム「ブラストメール」は、毎時280万通もの高速配信が実現可能です。

複数IPからの分散配信により高い到達率を維持する

高速配信の秘密はMTAだけではありません。多くのメール配信システムは送信元のIPアドレスを複数に分散する仕組みが備わっており、ISPのレピュテーション(評価)に与える影響を最小限にしてメール配信を処理できます。

「StartTLS」を利用してセキュアなメール配信を行う

「StartTLS」はメール配信におけるセキュリティ対策のひとつで、メールの送受信を暗号化する通信プロトコルです。StartTLSを使わずメール配信を行うと、悪意のある第三者によってメール配信がハッキングされ、データが改ざんされたり個人情報の流出につながります。

そのためメールマーケティングを行う上で、StartTLSは当たり前に実施すべきセキュリティ対策です。しかし、メール配信システムを使ったことがない方の中には、StartTLSの存在について知らない方も少なくないでしょう。

メール配信システムはそのほとんどがStartTLS標準装備となっています。メール配信について技術的な知見を持たない方がメールマーケティングを安全に行うには、メール配信システムが不可欠といえるでしょう。

メール配信のデータを収集・解析する

メール配信システムには、メールが開封された件数や日時、クリックされたURLの種類、そして購読解除された件数など、様々なデータを収集・解析する仕組みが備わっています。

解析されたデータは「開封率・クリック率」のような分かりやすい数値で表示され、メールの効果が人の手で簡単に分析できます。これによりメール配信の改善も容易に行えるようになり、より効果的なメールマーケティングが実現可能です。

メール配信システムの仕組みから得られるメリット

メール配信システムには様々な仕組み・機能があることが分かったと思いますが、実際に導入するにあたって重要なのは「どんなメリットが得られるか」という点ですね。

そこでここからは、以下に示すメール配信システムのメリットについて解説します。

メール配信システムのメリット

  • 大量の一斉配信を遅延なく確実に届けられる
  • 効果的なメールマーケティングが実践できる
  • メール配信業務を効率化できる

大量の一斉配信を遅延なく確実に届けられる

メール配信システムの本領は、やはり大量配信を高速で処理できることです。たとえ何万通という規模の一斉送信であろうと、メール配信システムなら到達率に影響を与えず、なおかつ遅延なく配信を実行できます。

どんなに良質なメール配信も、きちんと届かなければ効果は得られません。目安として、一度に1,000通を超える一斉送信を定期的に行うのであれば、メーラーではなく必ずメール配信システムを利用して配信しましょう。

手軽に効果的なメールマーケティングが実践できる

メール配信システムはセグメント配信や効果測定といった、メールマーケティングを行うのになくてはならない機能を備えています。

しかもメール配信システムは月額4,000円ほどで利用できるサービスもあり、マーケティングツールとして考えると非常に低価格といえるでしょう。

一応、メール配信システムを使わずにメールマーケティングの環境を整えることは可能です。しかし、それは技術的な難易度が高く、結果的にメール配信システムを導入するよりコストが高くついてしまうのです。

メール配信業務を効率化できる

メール配信には様々な作業があります。たとえばメール作成、配信のセット、そして購読者リストの管理などです。メール配信システムは、そうした作業を効率化・自動化する機能がいくつも備わっています。

メール配信を効率化する機能の例

  • HTMLメールエディタ
  • セグメント配信
  • 読者リストの自動クリーニング
  • 購読解除処理の自動化
  • バックナンバーの保存・管理
  • API連携

こうした機能のおかげで、メール配信にかかる作業時間が1/10以下にまで減ったという成功事例も存在します。

メール配信システムの選び方

実際にメール配信システムのサービス比較を行う際は、以下のような点に注目してみましょう。

  • 基本的な機能の有無
  • 導入実績
  • サポートの充実度

なお、具体的なおすすめサービスについては以下の記事で紹介しています。無料のメール配信システムから有料のものまで、様々なサービスを分かりやすく比較しているため、あわせて参考にしてみてください。

参考記事:《2021年》定番のメール配信システムおすすめ16選!無料から有料まで徹底比較しました

基本的な機能の有無

メール配信システム選びでまず気をつけてほしいのは、基本的な機能の有無です。メール配信システムは様々なサービスがあり、どれも特徴が異なりますが、基本機能を持つサービスだけに絞り込んで選定することで失敗の可能性を下げられます。

メール配信システムで最低限ほしい機能

  • セグメント配信
  • HTMLメールエディタ
  • 効果測定ツール
  • メルマガ購読・解除フォーム作成
  • 送信ドメイン認証の設定機能

上記のような機能を持つメール配信システムであれば、メールマーケティングを行う上ではまず問題ありません。

ステップメールや多言語対応といった、さらに高度なメールマーケティングを実現できるサービスもありますが、場合によっては無用の長物となってしまう可能性があります。

また、そのようなサービスは値段も高い傾向にあるので、検討時は本当に必要かどうか十分見極めましょう。

導入実績

そのサービスが市場からどのような評価を受けているかを判断する基準として、導入実績の豊富さが挙げられます。

また、導入事例が多いほど自社と同じ業種の事例や、自社の抱える課題感に近い課題を抱える企業の事例が見つけやすく、より具体的な導入イメージを掴むことが可能です。

選定をスピーディーに進めるなら、導入実績の多いサービスを中心にメール配信システムを検討を進めると良いでしょう。

サポートの充実度

メール配信システムを初めて導入する際、特に重要なのがサポートの充実度です。たとえば緊急トラブルの際、電話やチャットといったリアルタイムのサポート窓口があると、メール配信システムに慣れていない人でも安心して利用できますよね。

注意して欲しいのが海外製のメール配信システムです。海外製のメール配信システムは窓口がメールしかなかったり、日本語に対応していなかったりします。

メール配信初心者が海外のメール配信システムを選ぶとほぼ間違いなく失敗するため、まずは国産のメール配信システムを選ぶようにしましょう。

メール配信システムの仕組みまとめ

メール配信システムは大量配信を確実に、遅延なく届けるというメリットがありますが、それを支えているのがMTAや複数IPからの分散配信といった技術的な仕組みです。

また、セグメント配信やHTMLメールエディタ、そして購読者管理の自動化など、メール配信業務を効率化して生産性を向上させる機能も豊富に備わっています。

メール配信の成果がなかなか上がらない、メール配信の業務が重すぎるといった悩みを抱えている場合は、ぜひメール配信システムを導入してみましょう。

メール配信システムにはクラウド型とオンプレミス型の2種類がありますが、利便性や費用面など様々な面でクラウド型のほうが勝っています。特別な事情がない限り、メール配信システムはクラウド型のサービスを利用しましょう。

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この記事を書いた人

Email Rising編集部です。Email Risingではメール配信システムやメールマーケティングについてのお役立ち情報を発信しています

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