私たちは日々たくさんのメールを送受信しています。その中で、「BCC」という機能を利用してメールを送信した経験がある人も多いのではないでしょうか。
BCCは非常に便利な機能で、TOやCCとは違い、入力したメールアドレスは他者から確認することができません。
しかしながら、その便利さがゆえに下記のような疑問を持つこともあります。
- BCCは本当に見えないのか?
- BCCで送ったことはばれていないか?
- BCCを使ったメール配信は本当に安全なのか?
この記事では、これらの疑問にプロの目線から回答します。
また、そもそもBCCとは何なのか、そしてBCCがどうして「見えない」のかについても詳しく解説します。メールの基礎知識を押さえることで、BCCにまつわる疑問がクリアになるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。
BCCは本当に「見えない」「ばれない」のか
結論からお伝えすると、BCCに設定したメールアドレスは他の受信者から見えないですし、誰に一斉送信したかはばれません。
ここでは、そもそものメールの仕組みやBCCについて技術的な視点で解説します。
メール配信の仕組みとBCCの基礎理解
メールの送信においてはSMTPと呼ばれるプロトコルが利用されており、BCCフィールドの情報はメールのヘッダー情報から削除され、メール受信者が見ることはできないからです。
そのため、 BCCが「見えない」「ばれない」は本当なのです。
- 受信:POP3、IMAP
- 送信:SMTP
例えば、メールを複数の受信者に一斉送信したい場合、BCCを利用すれば各受信者は自分がメールの受信者であることを認知できますが、他の受信者が誰であるかを知ることはできません。
このような特性から複数の宛先やメールの一斉送信にBCCが利用されるケースがあるのです。
上述したようなメール送受信などに関する専門的な解説は以下の記事を参考にしてみると理解が深まるでしょう。
関連記事:メール送受信の仕組みについて解説!SMTP、POP、IMAP、DNSなどの用語を理解しよう!
メールはネットワーク上でのデータ通信である
BCCが「見えない」「ばれない」というのは基本的に間違っていません。
しかし、メールはネットワーク上でのデータ通信の一部であるため、BCCを使用した場合でも情報漏洩が起こる可能性はあります。
メールはネットワーク上を電子的に移動します。この過程で、データが第三者によって傍受されてしまうと情報漏洩などのリスクを抱えてしまうのです。
- 個人情報の流出
- メール内容の改ざん
特に個人情報漏洩は社会的な目線がどんどん厳しくなっています。もし、自身の会社が個人情報の漏洩をしてしまったとすると、企業としての社会的信用は大きく落としてしまうことになるでしょう。
そして、これらのリスクを小さくするためには、メールを暗号化することが重要となります。
メールの暗号化
メールの送信に使われるSMTPやPOPのプロトコルでは通常、暗号化がされていません。
メールの暗号化には以下のような暗号化の技術が使われます。
- SSL・TLS
- STARTTLS
- PGP・S/MIME
これらの暗号化プロトコルは、メールの本文だけでなく添付ファイルも暗号化することができ、メールが改ざんされていないことを保証するデジタル署名の機能も提供しています。
また、メール送信にはSTARTTLSが利用されることが多いです。STARTTLSとは、暗号化されていない通信を、SSL/TLSを利用した暗号化通信に切り替える仕組みのことです。
STARTTLSには、専用ポート番号を用意しなくて良いなどのメリットもあります。メールの改ざんや個人情報の流出などの大きな問題に発展しないよう、メールのセキュリティ対策はしっかりと取り組むようにしましょう。
特にメルマガなどの大量の個人情報を含むようなメールの場合、セキュリティ対策がしっかりと施されているメール配信システム等を活用するとよいでしょう。
14年連続顧客導入数シェアNo1のメール配信サービスである「ブラストメール 」ではSARTTLSをはじめとするセキュリティ対策は万全です。
関連記事:メール配信システムの仕組みはどうなっている?高速配信を実現する技術と様々な独自機能を解説
BCCを利用する際の注意点とリスク
BCCを利用する際には、情報漏洩のリスクを考慮し、適切な方法で使用することが重要です。
BCCを使用することで他の受信者からメールアドレスを隠すことができますが、それが絶対的な安全性を保証するわけではありません。
また、BCCでの情報漏洩は人為的なミスによっても起こりえます。その点も含めてBCCについて改めて解説します。
CCとBCCの違い
CCとBCCは、受信者が見ることができる情報に違いがあります。
CC(Carbon Copy)に指定したアドレスは、他の全ての受信者に公開されますが、BCC(Blind Carbon Copy)に指定したアドレスは、他の受信者からは見えません。
TOも含め、メールの宛先を入力できる「TO・CC・BCC」について簡単にまとめると以下の内容になります。
- TO:メールの宛先を指定
- CC:メールの内容を共有したい宛先を指定
- BCC:他者からは知られないようメールの内容を共有したい宛先を指定
これらの仕組みの違いが原因で、意図せず個人情報が漏洩する可能性があるのです。
最も多いのは、BCCで設定するはずだったメールアドレスを、TOやCC設定してしまうという人為的なミスです。実際にこのような誤送信は頻繁に発生しています。
実はほとんどの企業はメールのセキュリティ対策をしているため、上述したような技術的な観点からの情報漏洩などはほとんど発生していません。
BCCの設定間違いという、ケアレスミスによって企業の信用を落としてしまうのは本当にもったいないことです。
BCCで送ったことで情報漏洩になった事例
BCCを使用しても情報漏洩が起きた事例をいくつか紹介します。
国立研究開発法人・国立環境研究所は2023年6月2日、研究所の気候変動適応センターが実施する「生物季節モニタリング」参加者・団体宛の電子メールを誤送信し、メールアドレス406件が流出したと明らかにしました。
説明によると気候変動適応センターでは2023年5月31日、市民参加型活動「生物季節モニタリング」の参加者・団体に夏季観測に関する注意喚起メールの送信を試みました。ところが、担当者が送信形式を指定する際、本来「BCC」とすべきところを「CC」に設定し送信していたとのこと。
国立研究開発法人 国立環境研究所:メール誤送信のお詫び より引用
日本郵船株式会社は2023年5月29日、採用イベントに参加した就活生に宛てた電子メールを誤送信し、対象者のメールアドレス510件が流出したと明らかにしました。
同社によると、誤送信は2023年5月26日に起きたものです。担当者が他社主催の採用イベントに参加した就活生に外部一斉メールを送信しようと試みましたが、送信形式を指定する際、本来「BCC」とすべきところを「CC」に入力したまま送信処理していたとのこと。結果、就活生の間で双方のメールアドレスが閲覧できる事態が発生しました。
日本郵船株式会社:個人情報(メールアドレス)の漏えいについて より引用
神奈川県綾瀬市は2023年6月2日、市が学校施設利用団体に外部一斉メールを送信した際に誤送信が発生し、送信先のメールアドレス118件が流出したと明らかにしました。
綾瀬市によると誤送信は2023年6月1日に起きたもので、担当者が外部一斉メールを発信する際、「BCC」の確認を怠り、送信先のメールアドレスが表示される形式で送信していたとのこと。送信後、一部受信者からの連絡により発覚しました。
神奈川県綾瀬市:学校施設利用団体へメールの誤送信について より引用
このように多くの企業や団体、官公庁などであっても日々、BCCの設定ミスによる個人情報の漏洩が起きています。
「自分に限ってそんなミスはありえない」など他人事として捉えるのではなく、自身の日々のメール配信体制を見直しましょう。何か起きてからでは遅いです。
BCCで一斉送信しても良いケースと、そうでないケース
もちろん、BCCを用いた一斉送信は便利なので利用しても問題ありません。ただし、その使い方や運用方法は制限やルールを設けるなどして、リスクを最大限減らしましょう。
- 宛先が5アドレス以内
- 宛先がすべて社内の人
- 配信前に必ずダブルチェックをしている など
- 宛先が10アドレスを超える
- 社外の人が宛先に含まれている
- 複数人によるチェック体制が整っていない など
特にメルマガなどの大量配信にBCCを活用する場合は、情報漏洩以外にも様々なリスクが出てきます。
BCCでの大量のメール一斉送信が推奨されない理由は以下のようなものがあります。
- ブラックリストに載ってしまう
- 個人情報漏洩リスク
- メール送信上限数と配信遅延
- メールの効果を検証しにくい
- 受信者が悪い印象を抱く可能性がある
それぞれの内容については以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
関連記事:BCCで一斉送信する前に知っておきたいリスクと対策を徹底解説
BCCは「見えない」「ばれない」からといって、その特性を理解せぬまま使ってしまうと取り返しのつかないことになる可能性もあるので注意しましょう。
メール配信で必ずやるべき情報漏洩の対策
ここまで紹介したBCCのリスクへの対策をいくつかご紹介します。
BCCを使ったメール配信は情報漏洩のリスクを伴う可能性があり、特に一斉に大量のメールを送る際にはそのリスクが高まります。
- メール配信前の複数回のチェック
- 信頼できるメール配信システムの利用
- 適切な送信者リストの管理
これらが情報漏洩を防ぐための重要な手段となります。それぞれ詳しく解説します。
メール配信前のチェックを複数回行う
メール配信前に複数回のチェックを行いましょう。人為的なミスを防ぐためのパワープレイになりますが、一定の効果は見込めます。
注意点としては、必ず第三者を含む複数人がチェックをすべきだということです。メール作成者自身のチェックも必要ですが、どうしても抜け漏れは発生します。
- メールの内容や送信先のアドレス
- 宛先が正しく設定されているか
- 添付ファイルの内容 など
ただし、第三者を巻き込むとなると人的コストや時間的コストが大きくなってしまいます。
そのため、おすすめの方法はメール配信システムを使い、そもそもの誤送信のリスクを排除してしまう方法です。詳細は次項で解説します。
メール配信システムを利用する
メール配信システムを利用することで、大量のメールを安全に配信することが可能です。
そもそもBCCやCCのように宛先欄が分かれていることもなく、登録しているアドレスに対して1対1のメール配信を同時に行うことができるのです。
配信リストの管理さえ適切に行っていれば個人情報の漏洩などを防ぐことができます。システムにもよりますが、有料のツールなどは技術的なセキュリティ対策もされており、安心して利用することができます。
もちろん、システムごとに異なりますが、その他にも以下のような機能も使えます。
- 配信リストの管理
- 配信スケジュールの設定
- 開封率やクリック率などの分析 など
これらを活用することで、メルマガやメールマーケティングの効果を高め、売上を上げるための販促ツールとしても活用することが可能なのです。
また、メール配信システムは比較的安価で利用することができ、費用対効果が高いと言われています。
たとえば、14年連続シェア1位の「ブラストメール」であれば、月額4,000円から利用することができます。4,000円で情報の漏洩などの対策ができ、売上も上がるならやらない手はありません。
まだ利用をしたことがない人は無料お試しなどを活用してメール配信システムの便利さを実感してみてください。
メール共有システムを利用する
社内への共有をかねてCcやBccを使うケースもあるかと思います。こような形で情報共有をしていると対応漏れや2重対応などの問題が多発してしまいます。
チーム全員のメールを対応状態やどのメールに誰が対応しているのかリアルタイムで共有できるだけでなく、セキュリティ対策機能も充実しており、誤送信防止チェックや添付ファイルURL化、送信キャンセルなど多岐にわたる機能が揃っています。
複数人でのメール管理や問い合わせ対応でお困りの方におすすめです。
BCCメール配信に関するよくある質問
- BCCとは何でしょうか?また、なぜそれが他の受信者から見えないのでしょうか?
-
BCCとは、メール送信時に特定の受信者を他の受信者から見えないようにする機能のことを指します。これは、SMTPというプロトコルの仕組みによるものです。
- BCCを使用する際の注意点やリスクは何でしょうか?
-
BCCを使用する際の主なリスクは情報漏洩です。メールを誤ってBCCではなくCCやTOに入力してしまうと、受信者全員がそのアドレスを見ることができ、情報漏洩につながる可能性があります。そのため、一斉送信する際には特に注意が必要です。
- メール配信における情報漏洩対策とは何でしょうか?
-
メール配信における情報漏洩対策としては、まずメール配信前に複数回のチェックを行うことが重要です。これにより、送信先の確認や内容の誤りを事前に修正することができます。また、信頼性の高いメール配信システムを利用することも一つの対策となります。これにより、メールの送信先を管理しやすくなり、誤送信のリスクを減らすことができます。
BCCメール配信は見えないのか?のまとめ
BCCを適切に使用すれば、メールの受信者は他の受信者のメールアドレスを見ることはできません。そのため、BCCが「見えない」「ばれない」というのは事実です。
しかし、技術的なセキュリティ対策や人為的なミスによってBCCの情報が漏洩してしまうリスクは存在します。複数人によるチェックや専門のシステムを使い対策を行うことで対策をするとよいでしょう。
また、そもそも大量のメールを一斉送信する場合には情報漏洩以外にも「ブラックリストに登録されてしまう」など、様々なリスクが存在します。
BCCは一斉配信に向いておらず、本記事でもご紹介したブラストメールのようなメール配信システムを活用するとよいでしょう。
その他にもおすすめのシステムは以下の記事で紹介していますので参考にしてください。