メールを確認した際、大量の広告宣伝メールが送られていて、迷惑に感じた経験がある方は多いのではないでしょうか。
こうした「迷惑メール」による社会問題に対応するため、2002年に「特定電子メール法」が施行されました。そのため、この法律に準拠したうえで広告や宣伝メールを送らなければ、罰則が科される恐れがあります。
この記事では、特定電子メール法の概要やポイント、違反した場合の罰則やオプトイン(広告宣伝メールの送信時に前もって許可を求めること)の取得方法などを解説します。
特定電子メール法とは?
特定電子メール法とは、正式名称である「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」の略称です。
この法律は2005年と2008年に改正されており、現在は2008年に改正された法律が適用されています。まずは、特定電子メール法の概要や施行された背景、特定商取引法との違いを見ていきましょう。
特定電子メール法の詳細と施行された背景
特定電子メール法は、短期間に不特定多数に向けて大量に送信される広告メールや宣伝を規制し、消費者のインターネット環境を良好な状態に保持するための法律です。この法律では、具体的に以下のような項目が定められています。
- 広告メールや宣伝を送る際は、事前に受信者の同意を得る必要がある
- 広告メールや宣伝を送信する際は、送信者側に表示義務がある
- 送信者情報(eメールアドレス)を偽って送信することを禁止する
- メール送信を拒否した者に対して、メールの送信を禁止する
この法律が施行された背景には、2001年頃から急増した迷惑メールの存在が挙げられます。この頃は、受信者の許可を得ずに、一方的に多量の広告メールや宣伝が送りつけられるケースが多かったのです。メールの受信者は、メールの内容に惑わされさまざまなトラブルが発生し、当時大きな社会問題にまで発展しました。
そのため、総務省ではこうした社会問題に対応すべく、2002年4月に特定電子メール法を成立させ、同年7月に施行したのです。
特定電子メールの定義
では、どういったメールが規制の対象になるのでしょうか。「特定電子メールの送信等に関するガイドライン(総務省・消費者庁)」によると、特定電子メールは以下のように定義されています。
“「特定電子メール」とは、「営利を目的とする団体及び営業を営む場合における個人」である送信者が「自己または他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信する電子メール」である。”
特定電子メールの送信等 に関するガイドライン より引用
ガイドラインの中では、「宣伝や広告を行うための手段として送信されている」と考えられる電子メールが、特定電子メールに該当するとしています。以下が該当条件の参考です。
- URLを用いて、広告や宣伝を行おうとするWebサイトへの誘導を目的とした電子メール
- SNSへの招待や懸賞当選の通知などを装って、営業目的のWebサイトに誘導を目的とした電子メール
一方で、以下のような内容でかつ宣伝・広告に該当しない電子メールは、特定電子メール法の規制の対象外です。
- 料金請求のお知らせ
- 単なる時候の挨拶
- 予約の確認
- SMS認証(本人確認)
- 非営利団体(政治団体・宗教団体・NPO法人・当同組合など)
特定商取引法との違い
迷惑メールに関連した法律として、特定電子メール法の他に「特定商取引法」という法律があります。特定電子メール法と特定商取引法は混同されることもありますが、目的や規制対象に明確な違いがあります。
特定電子メール法と特定商取引法の主な違い
特定電子メール法 | 特定商取引法 | |
管轄 | 総務省、消費者庁 | 経済産業省、消費者庁 |
目的 | 電子メールの送受信における支障防止の観点から送信を規制 | 取引の公正や消費者保護の観点から広告を規制 |
規制対象 | メールの送信者またはメールの送信を委託した者 | 販売業者、電子メール広告受託事業者 |
特定電子メール法は、主にメール送信者(メール送信を委託した者)を対象に規制する法律です。そのため、自己あるいは他者の営業に関して広告宣伝メールを送る場合に、幅広く適用されます。
一方で、広告主が規制の対象となるのが特定商取引法です。事業者が取引をする時に、対象となる商品やサービスについて宣伝メールを送信する際に適用されます。
特定電子メール法における3つのポイント
広告あるいは宣伝メールの送信時、注意したいポイントが3つあります。特定電子メール法に関して違反せずに宣伝を行うためにも、それぞれのポイントを押さえておきましょう。
オプトイン方式
事前に、メール受信者からメール送信について同意をもらうことをオプトイン方式と言います。特定電子メール法において、営業目的の電子メールをオプトイン方式で送ることに問題はありません。
特定電子メールは、同意のない状態で送信すると罰則を受けてしまうため注意しましょう。
送信者の表示義務
特定電子メール法の中では、宣伝あるいは広告メールを送る際に表示義務が設けられています。送信者がメール文面に記載しなければいけない項目は以下の通りです。
- 送信者に関する情報(氏名もしくは名称、住所)
- オプトアウト(受信拒否)の方法
- 問い合わせ先(メールアドレス、URL、電話番号など)
送信者の住所や問い合わせ先などについては、メール文面の他にURLで別画面に表示する方法もあります。
また、表示内容は分かりやすく記載する必要があるため、誰が見てもひと目で分かるよう工夫しましょう。
オプトアウトの設置
同意のうえで送信していたとしても、受信者によっては配信停止を希望するケースもあるでしょう。そのようなケースを想定し、スムーズな受信拒否が可能になるオプトアウト(受信拒否)のフローを用意する必要があります。
例えば、メール本文の中に「メールの配信停止はこちらから」などと記載しておくと、配信停止手続きのサイトに受信者を誘導できます。この時、リンク先でも配信停止手続きが簡単にできるようにしておくことが大切です。
特定電子メール法に違反した場合の罰則
これまで触れたように、特定電子メール法には違反した際に課せられる罰則があるため、注意が必要です。ここでは、3つの違反について具体的な罰則を解説します。
- 送信時に送信者情報を偽った場合
個人事業主であれば、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」の罰則です。法人の場合では「送信した者を罰する他、法人に対して3,000万円以下の罰金」となります。 - 「同意のない者への送信」「表示義務違反」といった場合
総務大臣及び内閣総理大臣により、適正な措置を取るよう命令が下されます。命令に従わない場合、個人事業主の場合で「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」、法人であれば「送信した者を罰する他、法人に対して3,000万円以下の罰金」です。 - 同意の義務違反
特定電子メールに関して本人の同意を得た場合、特定電子メール法ではその記録を保存することが定められています。これに違反した場合は、総務大臣及び内閣総理大臣により、適正な措置を取るよう命令が下されます。個人事業主の場合「100万円以下の罰金」、法人の場合は「送信した者を罰する他、法人に対して100万円以下の罰金」です。
この他、「架空電子メールアドレス宛の送信」や「受信拒否者への送信」を行った場合も罰則の対象です。
オプトインの取得方法
特定電子メールを送信するためには、あらかじめ受信者の許可を得る必要があるとお伝えしました。最後に、オプトイン(受信許可)の取得方法を解説します。
入力フォームに項目を設置する
Web広告やホームページを見た時に、商品やサービスなどに興味を持った顧客は資料請求や登録を行うでしょう。その際、入力フォームに「メールアドレス」の項目を設置しておくと、オプトインが取得可能です。
ただし、入力された個人情報をどのように取り扱うか、メールアドレス宛にどのようなメールを配信するかなどを記載しておく必要があります。
一般的にはプライバシーポリシーなど個人情報の取り扱いを詳細に記載したページのリンクを設置し「プライバシーポリシーに同意の上お申込みください」などの一言を記載します。
個人情報の取り扱いに関する同意文の例文
「個人情報の取扱いに関する同意文」の中に記載する例文をご紹介します。
ご入力いただいた個人情報は、当社が提供する商品やサービスの情報提供に利用します。
このような一文を記載します。この個人情報の取り扱いに受信者が同意すれば、その時点でオプトインを取得できます。
オプトインの例外
オプトイン方式の中でも、以下の3つに該当する場合はオプトインを取得しなくてもメールの送信ができます。
- 「電子メールアドレスの通知」をした者にメール送信をする場合
電子メールアドレスをすでに通知しているのであれば、広告メールの送信が想定できます。そのため、オプトインの取得は不要です。 - 「取引関係」にある相手にメール送信をする場合
既に取引関係にある場合でも、広告宣伝メールの送信が想定できるため、オプトインの取得は必要ありません。 - Webサイトなどで電子メールアドレスを公表している企業(または個人)
企業(または個人事業主)が電子メールアドレスをWebサイトなどに記載している場合は、基本的に広告宣伝メールの送信が行われています。商慣習上でも一定範囲で認められているため、オプトインの取得は不要です。ただし、公表している電子メールアドレスとともに「特定電子メールを拒否する旨」が記載されている場合は、オプトインの規制対象となるため注意しましょう。
メルマガ配信もオプトインが必須
メルマガの配信は何らかの広告や宣伝が含まれることがほとんどです。そのため、メルマガ配信をする場合もオプトインの取得は必須と言えます。
メールアドレスの個人情報を取得してメルマガ配信をしたい場合は、登録フォーム機能がついた「メール配信システム」を利用するとよいでしょう。
また、同時に解除フォームを提供しているシステムであればオプトアウト対策も可能となります。
メール配信システムとは
メール配信システムとは大量のメールアドレス宛に一斉にメールを配信できるシステムのことです。
メールの大量配信は一般的にスパムメールに似た行為のため、迷惑メールフォルダに入ってしまったり、文字通りメールが届かない可能性があります。
メール配信システムにはこれらを回避するための技術が使われており、安心安全に大量のメールを届けることができます。その特性から、メルマガ配信や社内向けの一斉メール等に活用されています。
上述したように、サービスによっては登録・解除フォームの設置が可能ですので、特定電子メール法に注意しながらメルマガ配信をすることができます。
シェア1位のメール配信システム「ブラストメール」の活用
メルマガ配信に最もおすすめのメール配信システムはブラストメールです。ブラストメールは14年連続顧客導入シェア1位のメール配信システムとなります。
ブラストメールの特徴は、シンプルな操作性と、コストパフォーマンスの高さです。様々な業種や官公庁の導入もあり、定番のメール配信システムと言えるでしょう。
登録・解除フォームの機能はもちろん、セグメント(ターゲット)配信や効果測定、HTMLメールエディタなど、基本的な機能は全て揃っており、最も安いプランであれば月額4,000円以下で導入できます。
シンプルかつ安いので、初めてメール配信システムを使ってみたい方にもおすすめです。無料トライアルも可能となっているので、まずは試してみてはいかがでしょうか。
関連記事:【3分で分かる!】ブラストメールとは?ブラストメールのトライアル期間を使って徹底レビュー
まとめ
特定電子メール法は、いわゆる「迷惑メール」の急増を背景に施行された法律です。この法律において、送信側は広告や宣伝メールを送信する際に前もって受信側の同意をもらわなくてはなりません。
さらに、違反した場合は他の法律と同様に罰則があります。特定電子メール法が定めている罰則には、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」など重いものが多く、注意する必要があると言えるでしょう。
宣伝メールや広告を送信する時は法律違反にならないように内容を理解し、オプトインの取得といった適切な対策を講じましょう。