mailchimpはアメリカに本社がある「Roket Science Group」が2001年から提供しているメール配信システムです。
2021年9月には「Intuit Inc.」に買収され話題となりました。同社は税務・会計ソフトウェアを提供しており、今後は双方のシステムを活かしたサービスの拡充を目指すのではないかとされています。
手軽な料金でメールマーケティングに関わる機能を利用することができるため、日本も含め世界的に利用者がおり、企業数で言うと1,300万以上とも言われています。。
利用料金がかからない「freeプラン」を提供しており、利用を検討している方もいるのではないでしょうか。
この記事では、mailchimpの機能や料金を他のメール配信システムと比較しながら解説しています。
後半では解説している特徴を踏まえて、mailchimpの利用がオススメの方についても言及しています。
mailchimpの詳細を知りたい方、利用を検討している方はぜひご覧ください。
mailchimpとは
mailchimpはステップメール配信とセグメント(ターゲット)配信機能を提供しているメール配信システムです。
連絡手段としてのメール配信システムと言うよりは、マーケティングに特化した機能が多く、集客を目的に利用されることが想定されているシステムと言えるでしょう。
ステップメールとは、あらかじめ設定しておいたタイミングを起点に準備しておいたスケジュールに沿ってメールを配信する集客方法で、実践している企業も多いでしょう。
メルマガの配信などで利用されるセグメント配信とステップメール配信の両方を提供しているメール配信システムには以下のようなものがあります。
- オレンジメール(無料)
- オートビズ(有料)
- WILLMai(有料)
無料プランを提供しているオレンジメールと比較しても利用できる機能が多く、サポートやシステム全般が英語で記載されていることを除けば、便利なメール配信システムです。
ステップメールやセグメントメールを単独で提供しているメール配信システムが多い中で、両方の機能を利用することができるメール配信システムは貴重な存在かもしれません。
詳しくは機能紹介の項で後述していますが、ランディングページ(LP)と呼ばれるウェブ集客の媒体を作成する機能も提供しています。
有料のプランではA/Bテストやレポート機能なども利用でき、メールを使ったマーケティングには心強いメール配信システムと言えるでしょう。
mailchimpが提供している主な機能
mailchimpが提供している機能をご紹介します。
機能や料金の比較として、メール配信システムの1つである「ブラストメール」と比較して解説をします。
ステップメール配信 | ランディングページ作成 | HTMLメールエディタ | 効果測定(レポート機能) | ターゲット(セグメント)配信 | |
mailchimp | ◯(有料プランのみ) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
ブラストメール | × | × | ◯ | ◯ | ◯ |
ブラストメールと比較すると「ステップメール配信」と「ランディングページ作成」の機能を提供しているのが特徴です。
登録できる連絡先の件数は料金の項で解説していますが、上記の表にある機能の多くは「freeプラン」でも利用することができます。
しかし、mailchimpでセグメントメールを配信するには、有料のプランを選択する必要があるので注意が必要です。
2020年以前は、freeプランでもステップメール配信ができたようですが、システムの仕様が変わり、同プランではセグメント配信のみ利用することができます。
それぞれの機能を詳しく解説していきましょう。
ステップメール
ステップメールは冒頭でも解説したように「開封」や「初回購入」のような読者のアクションを起点に用意しておいたメールを順次配信していく集客方法です。
例えば、自社のホームページから商品を購入した読者に対して、以下のようなメールを配信するのがステップメールです。
- 購入時:お礼メール
- 2日後:商品の活用事例をまとめた記事への案内やPDF
- 1週間後:購入した商品に関係のある別のサービスやプランの紹介
- 1ヶ月後:商品利用者のセミナー案内
配信するコンテンツとスケジュールを設定しておくことで、設定していたタイミングに沿ってお客様に接触することができます。
ステップメール配信に限らず、メルマガ配信やシナリオメール配信でも「お客様に有益な情報を届ける」「長期的な目線で接触を続ける」という基本は同じです。
ステップメール配信による集客を検討している方は、どのようなアクションを起こしたお客様に、どのような情報を届けるかをよく考え実施するようにしましょう。
また、mailchimpのステップメール配信は有料プランから利用することができるので、注意しましょう。
ランディングページ作成
mailchimpが提供している機能の中で特徴的なのが「ランディングページ(LP)作成」です。
ランディングページとは、読者がURLやバナー広告をクリックした後に表示されるウェブコンテンツのことです。
通常、LPの作成にはHTMLなどのIT関係の知識が必要になるため、自社に人的リソースがない場合は、外注などで作成しなければなりません。
しかし、mailchimpではHTMLなどの知識を必要とせず直感的にLPを作成することができるエディタを提供しています。
作成したLPはステップメールにURLとして挿入することはもちろん、そのほかの集客にも活用することができます。
上記の画像はmailchimpで作成することができるLPのテンプレートです。
シャープでおしゃれなLPのテンプレートが多い印象です。
ブラストメールが提供している「HTMLメールエディタ」と同様に、編集画面からドラッグ&ドロップでLPを作成できるので、特別な知識やスキルは要りません。
以下の記事では、ブラストメールが提供しているHTMLメールエディタの使用画面を確認することができるので、mailchimpのLP作成機能のイメージがわかない方はご参考ください。
【3分でわかる!】ブラストメールとは?ブラストメールのトライアル期間を使って徹底レビュー!
HTMLメールエディタ
HTMLメールエディタはLP作成機能と同様に、HTML形式のメールを簡単に作成できる機能です。
スマホやタブレットの普及により、メール集客は文字だけのテキストメールを使ったものから、HTMLメールを使ったコンテンツが好まれる傾向にあります。
実際「HubSpot」の調査(2014年)によると、メルマガ受信者の過半数がテキストメールよりもHTML形式のメルマガを好むという結果が出ています。
HTMLエディタの有無は、メール配信システムを選ぶ上で重要なポイントになることが多いので、検討しているメール配信システムの機能をよく見ておきましょう。
効果測定(レポート機能)
mailchimpの効果測定は「レポート機能」とも呼ばれており、配信したメールの開封率とクリック率を把握することができます。
レポート機能を活用し、配信したメールの状況を把握することで集客効果を可視化することができる様になります。
mailchimpのレポート機能で把握できる数値は以下の通りです。
- 開封率・クリック率
- 開封された時間帯
- 開封率(回数)が高い受信者のアドレス
効果測定機能を提供しているメール配信システムでは、開封率やクリック率を把握することこそできるものの、開封された時間帯や読者ごとの開封回数を把握できるものは多くありません。
mailchimpのレポート機能を利用することで、読者に開封されやすい時間帯にメールを送信することや、開封回数が多い読者に個別でメールを送信することもできるようになります。
mailchimpのメリット
ここからはmailchimpを利用した際のメリットに関して解説します。
HTMLメール・ランディングページを作成することができる
先述したように、メール集客はHTMLメールを使ったものが主流になりつつあります。
情報共有を目的としたメール配信システムの利用では、テキストメールで十分ですが、集客が目的の場合は画像やボタンを配置することができるHTML形式の方が効果的です。
また、mailchimpではHTMLメールエディタと同様の感覚で、ランディングページも作成することができます。
LPを作成しHTMLメール内にリンクとなるボタンを配置すれば、集客用のメールだけでなくその先のコンテンツまで作成できます。
LPの作成エディタを提供しているメール配信システムは多くないので、mailchimpを利用する上で大きなメリットになるでしょう。
価格を抑えることができる
mailchimpは、無料で利用できる「フリー」の他に「エッセンシャルズ」「スタンダード」「プレミアム」の4つのプランを提供しています。
月額料金と登録できるアドレス件数を以下の表にまとめました。
比較としてブラストメールの情報も記載しておきます。
フリー(2,000件) | エッセンシャルズ(500件) | スタンダード(2,500件) | プレミアム(10,000件) | ブラストメール(5,000件) |
0円 | 1,150円 | 1,750円 | 34,500円 | 4,000円 |
プランごとに利用できる機能や、配信リストに登録できる人数が異なっているので、自社の配信規模や用途にあったものを選びましょう。
機能は制限されるものの、フリープランでは2,000件ものアドレスを登録することができるので、セグメント配信や細かな分析を必要としない場合は、低コストで利用することができます。
mailchimpのデメリット
ここからは、mailchimpを利用する際に注意しておきたいものをご紹介します。
サポート・操作画面が英語
mailchimpは海外の企業が提供しているサービスなので、サポートや操作画面が全て英語で表記されています。
上記の画像は、実際にmailchimpから届いたメールです。
英語の利用に抵抗がない場合はデメリットにはなりませんが、注意が必要です。
口コミサイトを確認していると、日本語を利用してメールを作成した際の文字化けも報告されているので、フリープランでチェックしてから本格的な利用を検討しましょう。
サポートが登録から30日間のみ
無料でメール配信システムを利用することができるフリープランですが、サポートは30日間しか受けることができません。
そのため、期間を過ぎるとトラブル対応や機能に関する問い合わせができなくなってしまいます。
国内のメール配信システムも無料のサービスだと、サポートが不十分な場合が多いので、公式サイトなどをよく確認して使用するようにしましょう。
コストが高くなる場合も
フリープランは2,000件までメールアドレスを登録することができますが、ステップメール配信やレポート機能などは一つ上のグレードからしか使用できません。
エッセンシャルプランでは上記の機能に加えて、A/Bテストやメールテンプレートの作成などのメールマーケティングに便利な機能を利用できます。
そのため、集客にmailchimpを利用する場合は、エッセンシャルズプランを選択する場合が多いようです。
ただし、エッセンシャルプランは1,150円で500件のメールアドレスを登録することができますが、それ以上のアドレスを登録する場合は追加料金が発生します。
例えば、5,000件のメールアドレスをエッセンシャルズで登録したい場合は、月あたり5,750円の使用料がかかります。
比較材料としてご紹介してきたブラストメールは同じ5,000件の登録アドレス数のプランだと4,000円/月で全機能を利用できるため、場合によってはコストが高くなってしまうケースもあります。
mailchimpの使用がおすすめの人
ここまでの解説を踏まえて、mailchimpの利用がオススメの方についてまとめてみましょう。
コストを抑えてメール配信システムを利用したい方
機能は制限されますが、月額料金がかからないフリープランを利用すればコスト抑えることができます。
エッセンシャルズやスタンダードでも登録アドレス数が5,000件以下であれば他のメール配信システムと比較しても低コストで利用することができるでしょう。
英語に慣れている方
解説の通り、mailchimpのサービスは英語表記で提供されています。
しかも日常会話ではなく、IT関連の用語を読むことができなければ使用が難しいので、英語の知識プラス、マーケティングの専門用語についての知識もなければいけません。
メール配信業務を担当する方が、英語に慣れている場合はコストを抑えた上でメール集客を進めることができます。
ランディングページの作成もしたい方
配信したメールに繋がるコンテンツとして、ランディングページを準備しておきたい方にはmailchimpが提供するLP作成エディタは魅力的です。
フリープランでも利用することができるそうなので、お試し感覚で使用感をチェックしてみるのも良いでしょう。
まとめ
mailchimpは海外製のメール配信システムです。
プランごとに利用できる機能は違いますが、以下のような機能を提供しており、特にステップメールによる集客を検討している方には知っておいていただきたいシステムです。
- ステップメール配信(有料プランから)
- セグメント配信(有料プランから)
- レポート機能(詳細データは有料プランから)
- LP・HTMLメール作成エディタ
- A/Bテスト(有料プランから)
あくまでフリープランはお試しの意味合いが強いので、メールマーケティングに利用するのであればスタンダードプラン以上が必要になるでしょう。
さらに詳細な分析レポート(効果測定)やサポートを求めるのであれば、プレミアムプランの検討が必要です。
しかし、基本的には英語表記のサービスであることと、2,500件以上のアドレス登録が必要な場合は、コストが高くなってしまう可能性があることを覚えておきましょう。
エッセンシャルズかスタンダードプランを利用した場合、2,500件までは1,750円(スタンダード)で利用を開始することができますが、それ以上になると5,750円(エッセンシャルズ)が最低料金になります。
料金も含め、mailchimpの利用を検討している場合は、以下の点についてよく考える必要があります。
- ステップメール配信で集客をしたいのか
- 不必要な機能はないか
- 英語に対応する環境はあるか
ステップメールにこだわりがない場合は、ブラストメールのようにターゲット配信機能のみを提供しているソフトの方がコストが低い場合もあります。
ブラストメールを含むメール配信システムのの機能や料金の詳細は、以下の記事にまとめてあるのでこちらもぜひ合わせてご覧ください。