メルマガは非常に費用対効果の高いマーケティングツールと言われており、大企業のマーケティングからスモールビジネスまで、あらゆる場面で活躍しています。
しかし「メルマガを送ってみたいけど、その方法が分からない」という方は多いでしょう。そこで本記事では、メルマガを送るのに必要な準備と、具体的な送り方について解説します。
また、送り方とあわせて、メルマガを効果的に行うためのポイントや守るべきルール、そしておすすめの配信ツールも紹介します。ぜひ参考にしてください。
メルマガとは?
メルマガ(メールマガジン)とは、自社サービスに関連する情報をメールで定期配信することで、ユーザーの行動を促すマーケティング手法です。多くの場合、週に1通以上のペースで一斉送信されます。
通常、メルマガはメール配信システムやMA(マーケティングオートメーション)などの専用ツールを使って送ります。
GmailやOutlookなどのメーラーでも不可能ではありませんが、メーラーは一斉送信に適した設計になっておらず、メルマガの到達率が著しく低下するためおすすめしません。
メルマガを送るのに必要なもの
メルマガを送るのに最低限必要なのは配信先となる読者のメールアドレスと、メルマガ配信を行うためのツール、これらふたつだけです。
実際にメルマガを送るにあたっては色々と注意すべき点がありますが、それについては後の項で詳しく解説します。
まずは読者のメールアドレスとメルマガ配信ツールさえあれば、メルマガ配信の準備は万端、ということを知っておきましょう。それでは、各メルマガを送るのに必要な不達の要素について解説します。
読者のメールアドレス
メルマガの送信先となるメールアドレスを集めるには、様々な方法があります。
- ブログ運営など検索エンジンからの流入で集める(SEO)
- Web広告やSNSを運用して集める
- ターゲットとなる企業・店舗のサイトに自らアクセスして集める
- 名刺をもらって集める
いずれの方法でも共通していえるのは、ターゲットを明確にした上で実践すべき、ということです。
メルマガの読者は多ければ良いというものではありません。あなたの商品・サービスを買う見込みのある読者を集めなければ、どんなに良いメルマガでも効果は出ないでしょう。
なお、メールアドレスを業者から購入するのは避けてください。業者が販売するメールアドレスリストには十中八九「スパムトラップ」が含まれており、自社のメールアドレスやIPアドレスがブラックリスト登録されてしまう可能性が高まります。
メール配信のブラックリストとは?解除申請と登録の回避方法を解説
メルマガ配信ツール
すでに解説したとおり、メルマガを送るには専用ツールが必要です。メルマガ配信を行うためのツールは、大まかに以下の3種類があります。
- メルマガスタンド
インターネット上で手軽にメルマガの発行と読者管理が行えるサービス。一度の配信が1,000通に満たない、配信規模が小さめの個人向け - メール配信システム
メルマガスタンドよりさらに高度なメールマーケティングが行えるツール。一度の配信が1,000通を超える、小~中程度の配信規模を持つ企業向け - MA(マーケティングオートメーション)
メルマガ配信以外にも様々な機能を備える多機能なツール。マーケティングの知見が多い組織や大企業向け
実のところ、メルマガスタンドとメール配信システムの間に明確な違いはないのですが、その点はイルカとクジラの区別のようなものだと捉えてください。
小さいのがイルカ、大きいのがクジラという区別がされるように、メルマガスタンドは機能が最小限でメール配信の処理速度も低めですが、メール配信システムはより機能が豊富で、なおかつ大量のメルマガを高速で処理できます。
一方、MAはメルマガ専門というより、その名の通りマーケティング活動を総合的に支援するツールです。メルマガとは直接関係のない機能が多く、その分料金も高いため、メルマガを送りたいだけの場合は目的と釣り合わないでしょう。
そのため、メルマガを送ることだけが目的である場合、メルマガスタンドかメール配信システムのどちらかから選ぶのがおすすめです。
メルマガ送信の手順
ここからはメルマガを送る際の手順について、事前準備から改善段階まで丁寧に解説します。
- メルマガの目的を決める
- 読者ターゲットを定める
- メルマガのテーマを決める
- メルマガ送信の環境を整える
- メルマガを作成・送信する
- メルマガの効果を分析し、改善する
1. メルマガの目的を決める
まずはメルマガを送ることでどのような成果を得たいか、という目的の部分を決めましょう。具体的にはメルマガ経由で商品を販売したい、サービスの利用機会を増やしたい、といった形です。
ここで決めた目的は、今後の手順における判断軸となってきます。そのため、目的はできる限り具体的にしましょう。
たとえば「売上を増やす」ではあまりに意味が広く、どのようなメルマガを送れば良いのかイメージしにくいですよね。
「メルマガで販売サイトを宣伝し、売上の機会を増やす」くらい具体的にすれば、少なくとも販売サイトのURLをメルマガに載せる必要があることは分かるようになります。
目的はあまりに細かくしなくて大丈夫ですが、最終的に送るべきメルマガの輪郭が捉えられる程度には具体性を持たせましょう。
2. 読者ターゲットを定める
目的が定まったなら、次にメルマガを配信する読者のターゲット像を作ります。たとえば「30代前半 / 女性 / 料理が趣味」のような形です。メールアドレスリストが手元に一切無い場合、読者ターゲットが定まってから収集を実施しましょう。
ターゲットを決めるときは、目的と同様に具体性が重要です。どのように具体性をもたせれば良いかという点ですが、ペルソナ設定と呼ばれる手法が有効です。
ペルソナとは?
属性やニーズだけでなく、価値観や行動原理にまで踏み込んだ実在感ある顧客像のこと
「30代前半 / 女性 / 料理が趣味」を例に取るなら、「料理が上手になりたい33歳の女性。味のセンスに自信がないためいつもレシピ通り作っているが、いずれは自分なりのアレンジや目分量を身につけたい」のような具合で、より詳細な情報を持つのがペルソナです。
ペルソナ設定まで行えれば、メルマガのコンテンツ方針を固めやすくなるため、ぜひ実践してみましょう。
3. コンテンツのテーマを決める
ターゲット像が固まったなら、そのターゲットに対してどのようなコンテンツで訴求するかを決めます。先ほどの「料理がうまくなりたい女性」を例に挙げるなら、「料理が上手になるコツや道具、そして自社サービスのメリットやキャンペーン情報を伝える」といった具合です。
ここでのポイントは、単に商品・サービスの良さを伝えようとするのではなく、ターゲットにとって価値のある情報とは何かを軸に判断することです。せっかく読者が集まっても、売込みばかりのメルマガは成果につながりにくく、購読解除も多くなりがちです。
具体的には、価値提供8割、販売・PRが2割くらいの比率でメルマガを送ることで、読者の購買見込みが上がりやすくなるとされています。
4. メルマガ送信の環境を整える
メルマガのターゲットやコンテンツの戦略が定まったなら、メルマガを作成・送信するための環境を整えます。たとえば人員を配置したり、メルマガ配信ツールを導入したりです。
後ほどメルマガ配信ツールのおすすめサービスをいくつか紹介するため、ツール選びの際にはそちらをぜひ参考にしてください。
5. メルマガを作成・送信する
環境が整ったら、いよいよメルマガを作成していきましょう。メルマガにはテキストメールとHTMLメールというふたつの形式があり、それぞれ以下のような特徴があります。
- テキストメール
テキストのみで構成されるシンプルなメール。受信環境の影響を受けにくいため読者に到達しやすいが、デザイン面の訴求効果は低い。また、開封率が測定できない - HTMLメール
テキストに色を付けたり、画像を入れたりできる自由度の高いメール。受信環境の影響を受けやすく、テキストメールより到達しにくいが、デザインを入れることで強力な訴求が可能。また、開封率が測定できる
このように、両者メリット・デメリットが存在しますが、筆者としてはHTMLメールで送ることをおすすめします。なぜなら、開封率が測定できないことはメールマーケティングにおいて致命的な問題だからです。
開封率が測定できないと「効果が低い原因はメールの件名なのか、本文なのか」という問題点の切り分けが難しくなり、どこを改善すれば良いのかも見えにくくなってきます。
そのため、たとえデザインが入らないテキストだけのメールでも、あえてHTMLメール形式で送る価値は非常に高いということです。
また、メール配信ツールによっては「マルチパート配信」といって、受信環境に応じてテキストメールとHTMLメールを送り分ける機能が存在します。
到達率や訴求力をできる限り高く保ちつつHTMLメールを配信したいなら、マルチパート配信が可能なメール配信ツールを選びましょう。
6. メルマガの効果を分析し、改善する
効果的なメルマガを送るためには、地道な改善が欠かせません。メルマガ配信ツール上で「開封率・クリック率」といったメルマガの効果を示す各指標をチェックし、改善点を探りましょう。
特に、以下に示す指標は定期的にチェックしておきたい重要な指標です。事前に把握しておけば効率よく改善活動が実施できます。
- 到達率
配信処理を実行したメルマガが、実際にどのくらい届いたかを示す数値。90%を割り込む場合は要改善 - 開封率
届いたメルマガのうち、開封に至ったメルマガがどのくらいかを示す数値。件名や配信タイミングが影響を与える - 反応率
開封されたメルマガのうち、URLクリックに至ったメルマガがどのくらいかを示す数値。本文の内容が影響を与える - クリック率
届いたメルマガのうち、URLクリックに至ったメルマガがどのくらいかを示す数値。メルマガの効果を俯瞰的にチェックできる
また、上記のような効果測定を行うためには、ある程度機能がそろっているメール配信システムを使う必要があることに注意しましょう。
メルマガ送信時の注意点
メルマガを送る際に注意しておきたいのが、「特定電子メール法」という法律と、配信の頻度・タイミングです。特に法律については、きちんと把握しておかないと罰金や懲役が科される可能性があるため、十分注意しましょう。
それでは各注意点について詳しく解説します。
法的なルールを把握しておく
メルマガは「特定電子メール法」という法的ルールに基づいて送らなければなりません。そのルールのひとつがオプトイン・オプトアウトです。
- オプトイン:メルマガを送ることについて、受信者の許可を得ること
- オプトアウト:受信者の意思でメルマガを購読解除すること
受信者の許可なくメルマガを送る、または解除申請を受けたのにメルマガを送り続けるなどの行為は法律違反にあたり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。
さらに法人の場合、行為者が先述の罰則を受けると同時に「法人が3,000万円以下の罰金を支払う」ことになります。名刺から集めたメールアドレスにメルマガを送る場合や、購読解除を手動で行う場合は十分注意しましょう。
なお、以下の記事ではオプトイン・オプトアウトについてより詳しく解説しています。オプトインの取得方法や、オプトアウトの導線を設置する方法について知りたい方は参考にしてください。
参考記事:オプトイン・オプトアウトとは? メルマガ配信に必要な法律を理解しよう!
定期的に配信する
読まれるメルマガは頻度とタイミングが重要です。あまりにも配信数が少なかったり、配信タイミングが不定期だったりすると、メルマガの存在が忘れられてしまい、成果が上がりにくくなります。
そのためメルマガ初心者はまず、迷惑と思われない程度に高い頻度で、なおかつ決まったタイミングに配信するのがおすすめです。特に頻度については週に一通以上を確保したほうが、読者に覚えてもらいやすくなります。
配信時間や曜日については、ターゲットの行動パターンをイメージして開封されやすそうなポイントを探るのが良いでしょう。例えばサラリーマンであれば、平日の通勤時間中や昼休みあたりの時間帯を狙う、高齢者であればメールチェックされやすい午前中を狙うといった具合です。
もちろん、適切な配信頻度やタイミングはメルマガのジャンルにもよるため、実際には試行錯誤を繰り返す必要があります。
なお、メール配信システムの「配配メール」には、ユーザーが前回メルマガを開封した時間を狙ってメルマガ配信を行う「メモリー配信」機能が備わっています。
メモリー配信を利用すればユーザーごとに配信時間を最適化できるほか、配信時間を試行錯誤する手間を省くことが可能です。
初心者におすすめのメルマガ配信ツール
ここからは、初めてメルマガ配信を行うのにおすすめなメルマガ配信ツールを3つに絞ってご紹介します。いずれのツールもメルマガ初心者に優しい使い勝手で、低価格もしくは無料で利用可能です。ぜひ参考にしてください。
blastmail(ブラストメール)
公式サイト | blastmail(ブラストメール) |
料金 | 初期費用:10,000円(1年契約で半額)
月額費用:4,000円〜 |
無料トライアル | 7日間 |
「blastmail(ブラストメール)」は24,000社超の導入実績がある人気メルマガ配信ツールです。毎時280万通もの高速配信を可能としており、大企業からベンチャー企業まで、様々な規模・業種の組織が導入しています。
機能面もHTMLメールエディタ、セグメント配信、そして効果測定などメルマガに必要なものが十分に揃っています。また、これだけ機能が充実していながら、初心者も取っつきやすい操作画面で定評があります。
料金は月額4,000円からで、予算に余裕がなくても導入しやすい価格設定です。機能、使いやすさ、価格と様々な面から見て、ブラストメールはメルマガ初心者に最適なサービスといえます。
無料トライアル期間は7日間と少々みじかめですが、全機能が制限なく使えるため、興味があれば実際に使ってみてはいかがでしょうか。
オレンジメール
公式サイト | オレンジメール |
料金 | 初期費用:無料~30,000円
月額費用:無料~30,000円 |
無料トライアル | 最長6か月 |
「オレンジメール」はシンプルな操作感と機能が特徴のメルマガ配信ツールです。料金プランは無料プランとふたつの有料プランで合計3種類があります。
無料プランは広告が強制的に表示されてしまう、読者数は100件までと制限があるのですが、その他は有料プランと同様の機能が使えます。配信規模が小さく、広告が入っていても構わないという場合は無料プランも十分選択肢になってくるでしょう。
配配メール
公式サイト | 配配メール |
料金 | 初期費用に加えて月額10,000円から
※ 料金の問い合わせはこちら |
無料トライアル | なし |
「配配メール」はMAにも迫る多機能さが特徴のメルマガ配信ツールです。多機能でありながらメールマーケティングに特化しているため、MAよりも求めやすい価格で導入できます。
また、機能だけでなくアフターフォローが充実しているのも配配メールの魅力です。ツールを使いこなすためのサポートのみならず、成果獲得のための運用提案まで行ってくれるため、高い信頼感があります。
ある程度予算に余裕があり、メルマガで確実に成果を上げていきたい場合は配配メールがおすすめです。
メルマガの送り方まとめ
以上、メルマガを送り方についてと、より効果的なメルマガ配信のためのポイントについて解説してきました。今一度、ここまでに解説した内容を箇条書きで整理しておきます。
メルマガの送り方とポイント
- メルマガを送るには読者のメールアドレスと、メルマガ配信ツールが必要
- 実際に送る前に、メルマガを送る目的と、ターゲット・コンテンツ戦略を定める
- 送信形式は開封率が測定できるHTMLメールがおすすめ
- 到達率を最大化するには、テキストメールとHTMLメールを送り分ける「マルチパート配信」機能があるメルマガ配信ツールを使う
- 特定電子メール法(オプトイン・オプトアウト)について把握しておく
こうしてみるとメルマガを送るのは大変なことに思えますが、実際メルマガ施策を成功させるのは簡単なことではありません。
特に大変なのはメルマガを送ったあとです。準備段階は一度済ませてしまえば終わりですが、分析・改善活動はメルマガを送る限り続きます。分析・改善を効率よく回すには、メルマガ配信ツールを使って少しでも負担を減らす努力をしましょう。
もっとも初心者におすすめなメルマガ配信ツールは、機能と価格のバランスが取れている「ブラストメール」です。予算が少なければ「オレンジメール」、逆に予算に余裕があるなら「配配メール」を検討してください。